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「レベレーション 啓示 3」山岸凉子

2018年01月21日 | コミックス
実戦

レベレーション(啓示)(3) (モーニング KC)
山岸 凉子
講談社


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フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけたジャネットことジャンヌ・ダルクは
王太子シャルルに対面し兵を得る。
神の声を聞く娘、ついにオルレアンへ!


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「レベレーション」の第3巻。
いよいよジャンヌがオルレアンへ向かいます。
ジャンヌ17歳。
バッサリと髪を切って、騎士の姿になったジャンヌはいかにも颯爽として、
まるで宝塚のスターのよう。
カッコイイ!!


オルレアンは城壁に囲まれた都市ですが、
今や四方をイギリス軍に囲まれ、にっちもさっちも行かなくなっているのです。
だからそこへ近づくことがまず危険なのですが・・・。
彼女の気持ちははやり、自ら先頭に立って戦おうとする。
ジャンヌの部下たちはさすがにジャンヌはお飾りと考えており、
軍議から彼女を外したりもするのですが、ジャンヌは納得しない。


ついに闘いの火蓋が落とされた時、
ジャンヌの存在が、兵たちを勇気づけるのです。
「主の旗のもと戦え」彼女の雄叫びは、
自分たちには神が付いているという思いを呼び起こし、
兵たちは、通常では考えられない力を発揮し始めるのです。


ある戦闘では、ついにジャネットは弓矢に射られてしまう。
「あり得ない、矢が当たるなんて・・・」
と、一瞬茫然自失するジャンヌ。
けれど神に守られていると思い込むジャンヌは、
その強靭な精神力で痛みを打ち負かし、
自ら矢を引き抜き、立ち上がって旗を振りさえもする。
そのことがますます、兵の士気を盛り上げる。
そしてまたそのことがイギリス軍の士気を限りなく低下させてしまうわけです。


つまり本作における著者の姿勢は、
ジェンヌは確かに“神の声”を聞く。
(それが事実か、それとも彼女の思い込みかは語られません。)
そしてジャンヌは強い意志でその言葉に従いますが、
彼女自身が奇跡を行ったりはしない。
あくまでも、彼女の周りで起きる出来事は論理的に説明がつくこと。
けれど、周りの人々が勝手にそれを奇跡と思いこんでしまう
ということのようです。


「神に守られている」という異常心理と、少しの偶然も重なって、
勝利するジャンヌの軍隊。
しかしこれは、ジャンヌに少しでも失敗があれば、
信用をなくし、軍の結束も何も一瞬にして瓦解するであろうという・・・
ということを予測させます。
イギリス軍はさっそくにもジャンヌを「魔女」呼ばわりしている。
今頂点に立つジャンヌから、早くも先行きの暗雲が透けて見えます。


どのようにして神の言葉が彼女に届かなくなってしまうのか・・・、
そしてどのように彼女の言葉が人々に届かなくなるのか・・・
待たれる次巻。

「レベレーション 啓示 3」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★.5