映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

THE UPSIDE 最強のふたり

2020年01月01日 | 映画(さ行)

人と人として、同じ目線で

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オマール・シーの出世作、フランス映画「最強のふたり」のハリウッド版リメイク。
いつも思うのですが、あれほど映画として完成されている物をわざわざリメイクしてしまう、
アメリカ人はよほど字幕が嫌いなのだなあ・・・と。

で、その元作品はもちろん見ているのですが、
でもやっぱりハリウッド版も見てしまうという、物好きな私です。

スラム街出身で前科があり、職もなく妻子に見放されたデル(ケビン・ハート)。
求職活動をした証拠書類が必要になります。
そこで、介助の仕事の面接に出かけ(本人は清掃の仕事だと思い込んでいた)、
サインだけもらおうとしたのですが、なんと採用に決まってしまったのです!!
彼が介助するのは全身麻痺で車椅子生活を送る大富豪フィリップ(ブライアン・クランストン)。
彼は他の面接者がみな自分を「障害者」として、
ただ世話をするだけの対象としか見ないことにうんざりしていたのです。
そして、障害者であることに全く頓着せず、ため口をきくデルを気に入ってしまったのですね。

キャリアも教養もないお調子者のデルを雇うことに、
秘書のイヴォンヌ(ニコール・キッドマン)は反対しますが、フィリップに押し切られてしまいます。
しかし、仕事が始まってみれば、二人は互いに一人の人間として、友情を育んでいくのです。
さて、フィリップには密かに「文通」している女性がいて・・・。

実話を元にした話なので、感動のツボは元作品と同じ。
首から下が動かないからと言って、できうる限り健常者と同じ生活をしようというのは、
先に見た「ブレス しあわせの呼吸」のカベンディッシュの考えが元になっているわけですね。
そう思うとなんだか感慨深いです。
今はAIで、声さえ出れば様々な電化製品を使うこともできて、
少しは過ごしやすくなってもいるでしょうし。
でも、いくらそのような器具などが発達しても、
人が人を大事に思い、支える心があることが一番大事。
そういうことです。

まあ、結局のところやはりわざわざリメイクするまでもなかったとは思いますが、
本作でまたこのストーリーが多くの人に伝わるのならばそれも良し、と言うことですね。

もう少し詳しい考察はこちらへ
「最強のふたり」2011年フランス版

<シアターキノにて>
「THE UPSIDE 最強のふたり」
2019年/アメリカ/125分
監督:ニール・バーガー
出演:ブライアン・クランストン、ケビン・ハート、ニコール・キッドマン、ゴルシフテ・ファラハニ、アヤ・ナオミ・キング

友情度★★★★☆
満足度★★★.5