あくまでも「快楽」の為とする犯人像
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コロナ感染がまた拡大しているこの札幌で、映画館へ行くのはどうなのか・・・?
と迷ってしまうこの頃なのですが、
この日、映画館独自の取り組みで、一度100パーセントまで戻った座席の感染対策を
再び50パーセント、つまり一つおきとしていたので、出かけました。
今後もこれは続けてほしいのですが・・・。
そのほうが安心です。
というか、ほとんど客席がまばらな作品を見ることが多い私ですが、
それでもときおり、無頓着にすぐ隣の席を取る方がいらっしゃる・・・。
ちょっとイラッとしてしまいます。
はじめから一つおきならそういうことが起こらないので・・・。
せっかく「鬼滅」で人出が戻った映画館ではありますが。
マスク着用、飲食ナシで安全だと当局は言っているようですが、
座席50パーセント、こういう安心感が、結局は人の入りを長く保てるのでは・・・?
さて、本作。
終末期の患者ばかり次々と不審な死を遂げる事件の捜査に乗り出した、犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)。
依頼を受けて患者を安楽死させる「ドクター・デス」と呼ばれる医者の存在にたどり着きます。
そんな矢先、重度の腎臓病に苦しむ犬養の一人娘・沙耶香が、
ドクター・デスに安楽死を依頼してしまいます・・・。
私は、安楽死の制度はあるべきだと思っているのです。
いたずらに長く苦しんだ末に死を迎えるのではなく、
避けようのない死とわかっているのなら、苦痛を取り除き早期に死ぬこともアリなのかな、と。
そのために本人の意思を尊重することはもちろん、
様々なハードルは必要でしょうけれど。
本作中でも、長引く苦痛や家族に過度の負担をかけることに耐えかね、
本人の意思で安楽死を依頼するケースがほとんど。
そのため、長らく「事件」として発覚せず、
発覚した後も、遺族たちは「ドクター・デス」をかばい、嘘の証言をしたりします。
ある刑事もつぶやきます。
「この事件に被害者はいるのだろうか」と。
しかし、本作はあくまでもミステリ。
安楽死について考えることはそこまでで、
人助けではなく単に自分の快楽のために、人を殺し続ける犯人像を浮かび上がらせていきます。
この「ドクター・デス」の正体が、始めの予想を裏切る展開となるのが面白いところ。
全体的には、あまりサスペンス味は強くない感じです。
でも綾野剛さんがかっこよかったから良しとするか。
そんなところです。
安楽死については、こういういかがわしい「医療行為」めいたストーリーやら
実際の事件やらで話題になるのですが、
もっと本質的な議論をすべきではないかと思う次第。
現に法で認められる国もあることですし。
<シネマフロンティアにて>
「ドクター・デスの遺産 BLACK FILE」
2020年/日本/120分
監督:深川栄洋
原作:中山七里
脚本:川崎いづみ
出演:綾野剛、北川景子、岡田健史、前野朋哉、青山三郷、石黒賢
安楽死を考える度★★★☆☆
サスペンス度★★★☆☆
満足度★★★☆☆