自己有用感を高める教育を
* * * * * * * * * * * *
パリの名門高校のベテラン教諭であるフランソワ(ドゥニ・ポダリデス)。
パリ郊外の教育困難中学へ試験的に転任することになります。
移民など様々なルーツを持つ子どもたち。
フランソワは彼らの名前を読み上げるだけでも一苦労です。
生徒たちは実際問題だらけで、学力も劣っています。
他の教師は若くて経験不足のものばかりで、
こんな状況をどのようにしても無駄と思い、
はみ出したものはさっさと退学させればよいと考えています。
しかし、フランソワはさすがベテラン。
名門校から来たという意地もあったかもしれませんが、
なんとか生徒たちと心を通わせて学ぶ意欲を持たせようとします。
そしてあるとき、「レ・ミゼラブル」の本を教材として使うことを思いつきます。
そんな中で、次第にフランソワは生徒たちの信頼を得るようになっていくのです。
ところがあるとき、遠足で訪れたベルサイユ宮殿で、
お調子者のセドゥがトラブルを起こします・・・。
移民等であふれたパリ郊外の学校の荒れた状況は、
これまでも何度か映画化されていました。
本作もその一つ。
ただし、実話に基づくというわけでもないようなのですが、
いずれにしても、問題の鍵は、いかに真剣に教師が子どもたちと向き合うか、
どうやって子どもたちに学ぶ楽しさに気づいてもらえるか、
ということなのだろうと思います。
本作中では、ここの子どもたちは一冊の本さえ読み通したことがなさそうなのです・・・。
教育崩壊も甚だしいですね。
作中こんな言葉がありましたよ。
「子どもたちは何度も悪い点を付けられ、バカだと言われ続けると、
もう努力する気力を失ってしまう・・・」と。
最も大切なのは、自分もやればできるのだという自己有用感なのかもしれません。
フランソワはフランス語、つまり「国語」の教師なんですが、
初めのうちの文法の授業、これはさすがに退屈そうでした。
私でも居眠りするわ・・・。
でも、「レ・ミゼラブル」を教材にすると、皆食いついてきますね。
少なくとも学習の導入部は面白くなくちゃ!!
たしかによい話です。
でも、経済格差がもろに教育格差に結びついているという話・・・。
教師はそれでも頑張らなくちゃ、ということですか・・・。
<WOWOW視聴にて>
「12か月の未来図」
2017年/フランス/107分
監督・脚本:オリビエ・アヤシュ=ビダル
出演:ドゥニ・ポダリデス、アブドゥライエ・ディアロ、ポリーヌ・ユリュゲン、アレクシス・モンコルジェ
教育崩壊度★★★☆☆
満足度★★★★☆