ここまでショッキングなエピソードが必要???
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南イタリア、ナポリ。
かつて家族と暮らしていたアパートに今は1人住まい、元弁護士のロレンツォ(レナート・カルペンティエリ)。
娘エレナ(ジョバンナ・メッツォジェルノ)はアラビア語の法廷通訳で生計を立てるシングルマザーです。
しかし彼女は、母の死が父による裏切りのせいだと信じ、今も父を許せません。
ロレンツォ自身もそんな後ろめたさがあってか、この父娘は、疎遠になっていたのです。
あるとき、ロレンツォは隣家の若い夫婦と彼らの子どもと知り合い、
親しく付き合うようになります。
一時、ロレンツォの孤独も癒されたように思えたのですが・・・。
この隣家の家族にある異変が・・・!
家族を取り戻したように思えたロレンツォですが、
結局いっそうの孤独に陥っていくことになってしまうのです。
作中で、アラブ詩人の言葉というのが引用されていまして、
「幸せは目指す場所ではなく、帰る家だ。
行く先ではなく、後ろにある」と。
老い先短いロレンツォにとってはまさに、この先の幸福を目指そうと思ってももう先がない。
それよりも実は、もう帰れないと思っていたところに
案外やはり帰る場所があるのでは・・・?
ということなのでしょう。
それがやはり家族なのだなあ。
どんなに反目しても、結局は許してしまうという。
そういう「絆」は、まあ悪くはないかな。
それにしても、隣家の若き父の精神状態があまりにも良くなかったですね。
でも良き妻と子どもたちがいてさえもそんな状態というのは・・・。
彼には「帰る場所」はなかったのでしょうか。
若干、ここのエピソードが単にロレンツォを孤独に陥れるだけのために使われたようで、
なんだか納得がいかない気もしますが・・・。
現実は不条理に満ちている、か。
<WOWOW視聴にて>
「ナポリの隣人」
2017年/イタリア/108分
監督:ジャンニ・アメリオ
原作:ロレンツォ・マローネ
出演:レナート・カルペンティエリ、ジョバンナ・メッツォジェルノ、
ミカエラ・ラマゾッティ、エリオ・ジェルマーノ
ショッキング度★★★★☆
満足度★★★☆☆