映画と本の『たんぽぽ館』

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世界にひとつのプレイブック

2013年02月26日 | 映画(さ行)
祝! ジェニファー・ローレンス アカデミー賞主演女優賞受賞



            * * * * * * * * *

アカデミー賞の主演女優賞に
今作のジェニファー・ローレンスが決まりましたね。
確かに、今一番旬の女優かもしれません。
今作でもさすがに光っていました。




妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパット(ブラッドリー・クーパー)は、
精神病院を出て、実家で両親と暮らすことになりました。
いつか妻とよりを戻そうと夢見ているのですが、
実際は彼には妻への接近禁止命令が出ていて、手紙すら出すことができないのです。
そもそもどう見てもよりなど戻せるわけがない、と思えるのですが、
本人は全くそれに気付けないというあたり、
実はまだまだビョーキ・・・。
言動もやはり常軌を逸していてイタい・・・。

そんな彼が、事故で夫をなくし、心に傷を持つティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会います。
が、こちらも過激な発言と突飛な行動。
やはり、どこか壊れている。
そんな二人がどうしようもなく衝突しながら、ダンスを通し再起しようとするのです。



今、社会問題ともいえる心を病む人の増加。
パットとティファニーは、まさにそういう人たちの代表で、
周りの家族や友人が、戸惑いながら、いかにも付き合いにくいこの二人をなだめつつ、
共に生活をしていこうと奮闘しているのが見て取れます。
断固拒否でないところがいいのです。
でも、気遣うあまり及び腰になってしまうのも確か。
しかし、この二人はお互い様と承知しているからでしょうか、
とにかく発言が辛辣。
でもその遠慮ない言葉の投げ合いの中で気づくこともあるんですよね。
本当のこと。
そしてその本当のことをズバリと言われるのは辛いということも・・・。



パットの父(ロバート・デ・ニーロ)は、ギャンブル依存症ともいえそうな人物で、
また勝負のジンクスにも異常なこだわりを持っています。
まあ、これもほとんどビョーキ。
そうしてみれば、誰もがちょっと人と違って狂っている部分があるというわけです。
いろいろな人と折り合いをつけながら、
関係を保って行くことが大切なんだなあ・・・。
そして、生きていくためには何か目標も必要。
二人の目標はとりあえずダンスの大会に出るというあたりだったのですが、
ひょんなことから、みんなを巻き込む大イベントになってしまいます。
その成り行きがまた面白い!!
なんでも一番でなければならない、という定石からも外れているところがまたステキなのです。



旬の若手俳優と、超ベテラン俳優の見事な配剤。
ちょっぴり胸が痛んだり笑ったりの感動作です。



ところで、このパットが着ている黒いモノが何かわかりますか? 
これがなんとゴミ袋。
父親が「なんでそんなものを着ているんだ?」というのですが、
単に発汗のためだそうで・・・。
しかしパットはすごいこだわりで、毎日のランニングに必ずこれを着ているんですよ。
すっごく変でおかしい! 
果たしてこれは彼の精神の変調のためなのか、
それともそうでなくてもこうなのか。
私はそれが知りたい。


もう一つついでに。
今作の原題は SILVER LININGS PLAYBOOK
そもそもプレイブックって、なんだっけ?
と、スポーツには疎い私は思ったわけです。
これはアメフトのチームの作戦図を乗せたノートのことだそうです。
パットとティファニーの勝利のための作戦書、
まあ、そんなワケなのでした。

「世界にひとつのプレイブック」

2012年/アメリカ/122分
監督:デビッド・O・ラッセル
出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、クリス・タッカー、ジャッキー・ウィーバー

社会問題度 ★★★★☆
ユーモア★★★★★
満足度★★★★★


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2 コメント

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それにしても (RIN)
2013-02-27 13:10:41
戦争(及び紛争)映画が多いですね~
まあ~嫌いと言うわけでもないんですが、、、

宮崎アニメも戦争ものが大半、、、女の子の戦闘員が主役、、絵はあんなにきれいなに、、、
(誤解しないで下さい。好きなことは好きなんです。特にナウシカなんか、、)

のほほんとしてそれでもイイ映画みたいですね~ホント



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ドラマ (たんぽぽ)
2013-02-27 20:20:42
>RINさま
戦争では・・・
愛が引き裂かれ
人間性が踏みにじられ
命が軽んじられ
勇気が試されて
そして陰謀が渦巻く・・・
あらゆるドラマが凝縮されるから
テーマにしやすいのでしょうねえ。
のほほんとしずぎて、なんだこれは?
というのもありますし・・・
それぞれに楽しむことにしましょうよ。
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