もえもえ、キュン
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弘前の高校に通う16歳、相馬いと(駒井蓮)。
祖母と亡き母から引き継いだ津軽三味線が特技です。
いとは強い津軽弁と人見知りのせいで、本当の自分を人に見せることができません。
特技の三味線も、大きく足を開いた演奏スタイルがかっこ悪いと思い、
最近は遠ざかってしまっているのです。
そんな彼女はさすがにこのままではまずいと思ったのか、
思い切ってメイド珈琲店でバイトをすることに。
思いのほかまっとうで心優しいカフェのスタッフに囲まれ、
ひとまずカフェは彼女の“居場所”となっていくのですが、
カフェのオーナーが何やら怪しげな人で・・・。
糸道とは三味線を弾くときに爪にできるミゾのこと。
“いと”の歩む“道”をも表わしているわけです。
もちろん、いとという名前も三味線の糸を意識してつけられた名前ですね。
私は吉田兄弟ファンなので、津軽三味線は大好きです。
この伝統芸能が「メイドカフェ」と結びつくところが本作の面白い所。
あの、「ご主人様、お帰りなさいませ」とか、「萌え萌えキュン」の、メイドカフェ。
それも、いとが言うと津軽弁なまり。
逆にイケてます。
本作は本当に津軽弁が多用されていまして、時々意味が分からないところも。
でもまあ、いいかって感じです。
青森の小さな町という舞台がリアルにそこにあるわけで。
さすがにいとの家がある町にメイドカフェはなくて、
青森市までバイトに通うのですが。
いとはおばあちゃんと、父(豊川悦司)との3人暮らし。
父は東京出身ですが、妻亡き後もこの地に住み着いています。
作中終盤で、いとと父が大げんか。
いとはさっさと荷物をまとめて家出しようとしますが、
そこへ大きなリュックを背負った父が、
「俺が山にこもるから、おまえはおばあちゃんと家にいなさい」という。
ナイスな父ですよね~。
トヨエツの魅力満載。
ところが、そこでまた祖母が言う。
「2人とも出てけ。私は一人で大丈夫。」
このおばあちゃんもいさぎよくて好き~。
おばあちゃんは、いとが落ち込んだりしているときに何も言わず、
あるものを差し出して「け」というのです。
つまり「食え」と言っているのだけれど、
四角くて平べったくて二個分がヒモで繋がっているその食べ物は一体何なのだろう・・・?
私には分かりませんでした・・・。
なにやらほんわか温かでさわやかでもある、ステキな作品です。
地元で生きるのもまた良しですね。
<WOWOW視聴にて>
「いとみち」
2021年/日本/116分
監督・脚本:横浜聡子
原作:越谷オサム
出演:駒井蓮、豊川悦司、黒川芽以、中島歩、古坂大魔王
郷土愛度★★★★★
青春度★★★★☆
満足度★★★★☆
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