女たちよ、立ち上がれ
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2010年、自給自足で生活するキリスト教一派のとある村。
女たちが度々レイプされるということが起こります。
男たちは「悪魔の仕業」だとか、「作り話」などと言って取り合いません。
しかしやがて、やはりこれは男たちの確信的な犯罪であったことがわかります。
男たちが街へ出かけ、不在の2日間、
女たちは自らの未来をかけた話し合いを行います。
本作、2005年~2009年にかけて、南米ボリビアで実際にあった事件を元に執筆され、
2018年に出版されてベストセラーとなった小説を元にしています。
まずは、本作を始めからみていくと、少し古い時代のように見受けられるのです。
人々の服装や、電気製品が無いこと、車がなくて馬車などで移動していること・・・。
ほぼ、西部劇で見るような時代、人々の暮らし。
ところが、作中半ばあたりで2010年、と出てくるのでビックリ。
つまりこれは、「アーミッシュ」として知られるような、
特定の宗教の縛りの中で生きるコロニーの人々の話なのでした。
この村では、女性に教育は必要ないとされていて、
女性は学校へも行けず、文字も読めないのです。
そして男たちは、家畜に用いる薬剤で女性を眠らせ、
その間にレイプをするという、なんとも卑劣な行為を繰り返していたのです。
女性は朝目覚めると、太ももに覚えのない傷やアザができていたり、
ひどい場合には妊娠していたり・・・。
それが、少女の身に起こっていたとしたらどうでしょう・・・。
すべての男たちがこの行為をしていたわけではないと思うのですが、
しかし、知っていても知らないふりをしていたのは確かです。
しかしついに、ある女性がこのことの真相を突き止める。
女たちは男たちのいない間に集まり、相談します。
本作はほとんどが、この相談のシーンとなっています。
こんなことに対して自分たちはどうするのか。
方法は3つ。
・何もせず、このまま我慢して過ごす。
・男たちと闘う。
・この村を逃げ出す。
字の読めない彼女たちは、この3つを示す絵にチェックを入れることで投票をします。
そして、この話し合いの中で、唯一の男性・オーガストが書記役を引き受けます。
彼はこの村を一度出ていって、外の世界を知っています。
けれどおそらくそこに適合できずに、帰ってきていた。
だから、この村の女性たちが置かれた理不尽な有様に同情できているのです。
そしてまた彼のこうした経歴は、多分村の他の男性たちからは疎まれ、
村八分的な扱いを受けていたのかも知れません
(あまり詳しい説明はなかったのですが)。
彼女たちは、まともに教育を受けておらず、字の読み書きもできないのですが、
生活の中で身につけた知識はたっぷり持っていて、
そして思考力は周囲のバカな男たち以上。
これまで互いに口にできなかったことを口に出し、
まっすぐに真実に目を向けていきます。
最後の彼女たちの決断にはもう、拍手を送りたくなります。
けれどさて、モデルとなった実際の村の女性たちは最後にどうなったのだろう・・・、
その後、どのような人生を送ったのだろう・・・と、そのことが気になりました。
作中も、そのことには触れられていなくて。
閉鎖的な社会で起こる理不尽な出来事・・・。
本作に限らず、このようなことは多くありそうです。
<シアターキノにて>
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
2022年/アメリカ/105分
監督:サラ・ポーリー
出演:ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、
フランシス・マクドーマンド、ベン・ウィショー
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆
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