映画と本の『たんぽぽ館』

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ミスティック・リバー

2010年10月11日 | クリント・イーストウッド
無邪気な子供のままではいられなくなってしまう、ある事件から・・・

ミスティック・リバー [Blu-ray]
ショーン・ペン,ティム・ロビンス,ケビン・ベーコン,ローレンス・フィッシュバーン
ワーナー・ホーム・ビデオ


          * * * * * * * *

幼なじみの三人。
ジミー、デイブ、ショーン。
ある時、この3人のうちデイブだけが車で連れ去られ暴行を受けてしまいます。
その後何となく疎遠になってしまった3人。
さて、それから25年後。
ある殺人事件を機に再開する3人。
ただし、ジミーは被害者の父親として。デイブは容疑者として。ショーンは刑事として。


これ、7年ほど前の公開時に見てるんですね。
うん。そのときの感想がこれ。


重いです。
幼なじみが大人になって再会したときに,
一人は被害者の父親,一人は容疑者,そしてもう一人は刑事となっていた。
少年時代に起きた事件が落とす影。
う~む。ラストがまた,ショッキング。
うそー。これで終わりなの?といいたくなる,やり切れない思い。
けど,世の中って,実際こんなことばかりだよね・・・。
ショーン・ペンのすさまじいまでの父親の娘に対する愛情,
名演ではあるけれど,あのマッチョさ,入れ墨,
現実的には私は「うげー」,です。
私ならとっくに家出してるわ。
彼の少年時代役のコがすご~く美形でした。
それがなぜ,ああなっちゃうのよー。
ケビン・ベーコンの相棒の刑事はモーフィアスでした。
かっこいい!
結局,少年に対する性的虐待とか,
青少年のあまりにも衝動的な犯罪とか,
現代の抱える病理を背景としつつ,それぞれの人生を浮かび上がらせ,
さらには真犯人を探るというミステリ的要素もからめた重厚な作品と,
まとめておきましょう。




その頃はまだ今ほどいろいろな作品は見ていなくて、まあ、どちらかというと派手なCG作品とか完全な娯楽作品が多かった気がする。
だからこの作品は、やたら重くて、正直言って面白いとは思えなかったんだけど・・・。
今見てどうなんでしょう。
やっぱり重いけど、なかなかいいと思う。
昔一緒に遊んでいた時にはなんの隔たりもなかった3人。
けれど、その事件が彼らのその後に微妙な影を落としていくんだね。
これまでイーストウッド作品を見てきた中でも、特に渋く重厚。
これは彼自身出演しない分、じっくり練ってあるという感じがする。


だけど、この作品のテーマはいったい何なのかって、ちょっと腑に落ちなかったところがある。
そうだね。先の感想にもあるけど、少年の性的虐待。青少年の刹那的犯罪。
そういうのもあるけど、ここのテーマはそれじゃないよね。
3人の皮肉な運命を通して、人生って何なのか、語りかけているのかも知れない。
人生の分かれ道は、元はほんの些細なことだけれど、
後になるとどんどん隔たりが大きくなってくる
・・・私たちは自分でもそんなドラマの中を歩いているのかも知れないね。
この中ではデイブが全然救われないじゃない。
あまりにも彼ばかりが貧乏くじって感じ。
でも現実にはそんなことたくさんあるよ。
ジミーを突き動かしたものはやっぱり「愛」なのだろうし・・・。
この作品では「正義」とか「愛」とかまあ、たいていの映画が美しいものとして掲げるものを、じっくり本気で見据えている感じがする。
それは必ずしも救いではないんだ・・・。
う~ん。で、この三人の俳優の演技がまたすばらしいよね。
そうですね。先の感想ではショーン・ペンがちょっと気に入らなかった風だけどさ。
でも、役柄から言うとそういう印象を持たせる男っていうのがまさに正解じゃん。
そういうことでした。
「相棒の刑事がモーフィアス」って何?
はは・・。それはその頃の大ヒット、「マトリックス」に登場するローレンス・フィッシュバーンの名前ですよ!
あ、そ・・・。


少年の日、車で連れ去られたデイブ。
バックシートから哀しげに二人を見つめていたその日。
なんにしてもその日から3人は
それぞれ無邪気な子供のままではいられなくなってしまったのだろうなあ・・・・・・・


2003年/アメリカ/138分
監督:クリント・イーストウッド
出演:ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン、マーシャ・ゲイ・ハーディン、ローラ・リニー


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