引き続き「うしろ読み」のうしろ読み
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名作の“急所”はラストにあり。
「へそをなでています」「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い。」
―意外と知らない唐突、納得、爆笑!?な終わりの一文。
『西遊記』『吾輩は猫である』から『ライ麦畑でつかまえて』まで、
世界の名著一三七冊をうしろから味わう型破りなブックガイド。
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先に紹介した「名作うしろ読み」の続編です。
刊行時は「名作うしろ読みプレミアム」という題名だったのを、
文庫化に当たって「吾輩はライ麦畑の青い鳥」と改題。
うんとキャッチーになりました!!
前巻はこちら→「名作うしろ読み」斎藤美奈子
著者によれば、本巻の方が「名作」の範囲を広げており、
前巻が「あっさり醤油味」なら、本巻は「こってり豚骨味・トッピング全部のせ」風とのこと。
確かに、こちらの方が私も読んだことがあるものが多い。
というわけで、引き続き「うしろ読み」のうしろ読み。
(注)「※」については、私のコメントです。
★あのトンチキな王子を罰してやれよ、と思うのは
勧善懲悪のおとぎ話に毒されているせいかしらん。<人魚の姫>
★細い糸にすがって争うビンボー人。
蜘蛛を踏まなかったのがそれほどの善行なのかという疑問も
セレブなお釈迦様の退屈しのぎと思えば納得できるではないか。<蜘蛛の糸>
★最後の最後で「長州の憲法」にきっぱり引導を渡したのは、
広田ではなく著者の思いの発露であろう。<落日燃ゆ>
※今憲法改正したら、「長州の憲法」に逆戻りじゃん!!
★芝居の終幕みたいな幕切れだが、この事件自体が、
そう、列車を舞台にした一種の大芝居なのである。
大人の世界では、しばしば「真相」よりも「解決法」が優先されるってことで。<オリエント急行の殺人>
★結局、活動的な美也子はああなって、楚々とした典子が幸せを得るんだな。チェッ。<八つ墓村>
★人生の折り返し地点をすぎて読むと最終章がしみます。<アルジャーノンに花束を>
※主人公チャーリー・ゴードンの知能の変化は、
つまり人の一生の知能の変化なのではないか、と著者は言っているのです。
とりあえず、この辺で・・・
図書館蔵書にて
「吾輩はライ麦畑の青い鳥」斎藤美奈子 中公文庫
満足度★★★★☆
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