自分の力で道を切り開く、人の力
* * * * * * * * * *
1962年、米国初、地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士・ジョン・グレンの功績を
影で支えたNASAの3人の黒人系女性スタッフの実話の映画化作品。
アメリカ、バージニア州ハンプトン、NASAのラングレー研究所に
ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行うチームがありました。
当時宇宙開発はソ連に先を越されていて、
アメリカもなんとかソ連を打ち負かそうと必死だったのです。
この時代、黒人は差別の対象とされ、
この研究所でも、この計算部署は白人チームと黒人チームが別々にあった。
そんな中、黒人チームの中でも特に天才的数学の才能を持つキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)が、
宇宙特別研究本部の計算係に抜擢されるのです。
しかし白人男性ばかりのオフィスで、
コーヒーポットを別にされたり、
計算のためのデータを「秘密事項」だからと、黒塗りの分かりにくい資料を渡されたり・・・、
無言の嫌がらせが続きます。
そして、黒人の計算チームで管理職と同じ仕事をしているのに、
非正規雇用のままだと嘆くドロシー(オクタビア・スペンサー)、
エンジニア志望のメアリー(ジャネール・モネイ)、
彼女らがどのように自分の未来を勝ち取っていくのか、というドラマです。
一番ひどいと感じたのは、トイレが白人用と黒人用に別れていて、
キャサリンは毎日800メートルも離れた黒人専用トイレまで
一日何往復かを余儀なくされた・・・というところ。
彼女はその間も時間を無駄にしたくないので、書類を抱えたまま走ります。
ある時、上司アル(ケビン・コスナー)が、キャサリンに
「不在が多すぎる、何をしているんだ?」
と問い詰めるシーンがあります。
キャサリンは、感情を爆発させて思いをぶちまける。
このシーンが圧巻でした。
泣けます。
全く彼女の事情に思いが至らない
(至っていても知らないふりを続ける?)人々に対して、
この上司は発想が自由。
黒人だろうと女性だろうとこだわらなかったのはもともとこの人ですし。
キャサリンの話を聞いた後の彼の行動がまた、爽快です。
またこのころ、はじめてIBMのコンピュータが導入されるのです。
大きすぎてドアを壊さないと搬入できなかったり、
すぐに作動させることができなかったり・・・困難続き。
そんなときに計算室のドロシーは考える。
この機械が動き始めたら、計算室はいらなくなってしまう・・・。
そこで彼女はコンピュータのプログラミングを学び始めるのです。
計算室のメンバーにも声をかけ、全員で学習を始める。
またこの時代は公民権運動の盛んな時期で、
ストーリーの合間にも、黒人のデモのニュースなども流されます。
人類が宇宙を目指そうという時に、
まだ人種差別が横行していたということになんだか驚いてしまいますね。
でもこんな時に、キャサリンたちはデモでもストライキでもなしに、
自分の仕事をただひたすらにやり抜くということで自分のポジションを築いていくのです。
ここまで来るとこれはもう「差別」の物語ではありません。
夢を実現しようとする普遍的な人の力の物語。
だからこの作品は人種や男女の違いを超えた万人に爽快感を与えるのでしょう。
うん、いい作品でした~。
<シネマフロンティアにて>
「ドリーム」
2016年/アメリカ/127分
監督:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー、キルステン・ダンスト
歴史発掘度★★★★☆
爽快度★★★★★
満足度★★★★★
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1962年、米国初、地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士・ジョン・グレンの功績を
影で支えたNASAの3人の黒人系女性スタッフの実話の映画化作品。
アメリカ、バージニア州ハンプトン、NASAのラングレー研究所に
ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行うチームがありました。
当時宇宙開発はソ連に先を越されていて、
アメリカもなんとかソ連を打ち負かそうと必死だったのです。
この時代、黒人は差別の対象とされ、
この研究所でも、この計算部署は白人チームと黒人チームが別々にあった。
そんな中、黒人チームの中でも特に天才的数学の才能を持つキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)が、
宇宙特別研究本部の計算係に抜擢されるのです。
しかし白人男性ばかりのオフィスで、
コーヒーポットを別にされたり、
計算のためのデータを「秘密事項」だからと、黒塗りの分かりにくい資料を渡されたり・・・、
無言の嫌がらせが続きます。
そして、黒人の計算チームで管理職と同じ仕事をしているのに、
非正規雇用のままだと嘆くドロシー(オクタビア・スペンサー)、
エンジニア志望のメアリー(ジャネール・モネイ)、
彼女らがどのように自分の未来を勝ち取っていくのか、というドラマです。
一番ひどいと感じたのは、トイレが白人用と黒人用に別れていて、
キャサリンは毎日800メートルも離れた黒人専用トイレまで
一日何往復かを余儀なくされた・・・というところ。
彼女はその間も時間を無駄にしたくないので、書類を抱えたまま走ります。
ある時、上司アル(ケビン・コスナー)が、キャサリンに
「不在が多すぎる、何をしているんだ?」
と問い詰めるシーンがあります。
キャサリンは、感情を爆発させて思いをぶちまける。
このシーンが圧巻でした。
泣けます。
全く彼女の事情に思いが至らない
(至っていても知らないふりを続ける?)人々に対して、
この上司は発想が自由。
黒人だろうと女性だろうとこだわらなかったのはもともとこの人ですし。
キャサリンの話を聞いた後の彼の行動がまた、爽快です。
またこのころ、はじめてIBMのコンピュータが導入されるのです。
大きすぎてドアを壊さないと搬入できなかったり、
すぐに作動させることができなかったり・・・困難続き。
そんなときに計算室のドロシーは考える。
この機械が動き始めたら、計算室はいらなくなってしまう・・・。
そこで彼女はコンピュータのプログラミングを学び始めるのです。
計算室のメンバーにも声をかけ、全員で学習を始める。
またこの時代は公民権運動の盛んな時期で、
ストーリーの合間にも、黒人のデモのニュースなども流されます。
人類が宇宙を目指そうという時に、
まだ人種差別が横行していたということになんだか驚いてしまいますね。
でもこんな時に、キャサリンたちはデモでもストライキでもなしに、
自分の仕事をただひたすらにやり抜くということで自分のポジションを築いていくのです。
ここまで来るとこれはもう「差別」の物語ではありません。
夢を実現しようとする普遍的な人の力の物語。
だからこの作品は人種や男女の違いを超えた万人に爽快感を与えるのでしょう。
うん、いい作品でした~。
<シネマフロンティアにて>
「ドリーム」
2016年/アメリカ/127分
監督:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー、キルステン・ダンスト
歴史発掘度★★★★☆
爽快度★★★★★
満足度★★★★★