ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

演劇の力だあ!本編②

2007-02-23 22:25:07 | 教育

 農業高校にはどこにも農業クラブというものがある。クラブとはいうが、部活動ではなく、授業など正課に近い立場だ。いろんな競技会が校内、県、東北、そして全国とつながっている。研究発表あり、測量競技あり、情報処理技術を競うものもある。中には、家畜審査と言って、牛のお尻を見て、(いや、尻ばかりじゃないけど)立派な子牛を生めるかな、乳がたくさん出るかな、なんてのを見極める競技もある。

 そんな、数ある競技の中に、意見発表というのがある。自分の将来の希望や、農業にかける夢、さらには、環境問題や地域の課題などを大勢の仲間の前に立って語るというものだ。置農は、この分野では、全国のトップレベルにある。毎年県大会を勝ち上がり、東北大会に出場している。この十年のうちに、全国大会最優秀も二度ほど獲得している。熱心に指導してきたE先生の力が大きいのだが、学校全体の盛り上がりも相当のもので、これが底辺アップを保証している。

 県大会出場者を決める校内大会には、代表はクラス一人と決まってる。なのに、必ずどこかのクラスから、複数出場がある。曰く、甲乙付けがたい、発表区分が違う。要するに、担任が、自分のクラスから代表者を出したいだけなのだ。それだけ、熱しているってこと。

 さらに、置農の力を押し上げているのが、クラス予選の存在だ。担任が読んで優れたものを推す、なんてずるはしない。生徒一人一人が、クラスメイトの前で、およそ4分間の意見発表をする。それをクラス全員が聞いて、判定評価し、指導の先生の意見と付き合わせてクラス代表を決めている。

 さて、いよいよ『演劇の力』の出番だ。2年前、なんと、学校代表枠3人のすべてを演劇部が占めてしまった。舞台立つの慣れてるからね、などと、軽くながさないでほしい。発表力だけで、代表権は取れるものではない。内容がなけりゃ、いくら立て板に水でも、予選落ちだ。そして、演劇部員は忙しい。とても、中身を積み上げている暇などないのだ。それでもなお、学校代表総なめ、そして、うち一人が東北大会出場を決め、残り二人も県大会優秀を勝ち得たのだ。胸を張って、『演劇の力』だぁ!と叫びたい。

 いや、そりゃ、たまたま優秀なのが集まっただけだろ、ってお疑いの方もあるだろう。でも、一昨日、行われたクラス予選で、またまた、凄い『演劇の力』を見てしまったのだな。クラスの演劇部員(7名)が軒並み、立派な発表してみせたのだ。いや、これは、驚いた。顧問で担任の私がびっくりした。なんと、堂々とした発表態度じゃないか。声もしっかりと通って、発表要旨もなかなかいい。いやあ、ここまで成長していたなんて、気付かなかった。自信だよな、自信に溢れている。自信に裏打ちされた発言が、こうも、説得力があるとは、新鮮な驚きだった。

 と、言うことで、ここまでは前振り。私の不運な論文、『演劇の教育的価値について=地域に飛び出せ演劇部』の続きををアップすることにする。

3)Cの場合:身体的不調により中学時より欠席が目立った。高校入学後も欠席が多く、演劇部でも公演直前のリハーサルに欠席するなど、自分自身をコントロールできない状態が続いた。しかし、二年次から舞台監督の仕事を任され、徐々に自分の役割を自覚し部員をリードするようになった。二年、三年と欠席も減少し、これに伴い成績も一気にクラストップに上昇した。<msnctyst w:st="on" addresslist="06:山形県米沢市;" address="米沢市">

米沢市

</msnctyst>内で事務職として働きながら、地元劇団にも顔を出している。

4)Dの場合:現在二年生。極度の寡黙。入学時クラスでの自己紹介で言葉が出ずに立ち往生した。家庭ではよくしゃべるが、クラスメイトや先生にはまったく言葉が出てこない。部活動の決定時に、生活部か演劇部か迷い、担任から、自分を変えたいなら演劇部、居心地良く過ごしたいなら生活部と助言を受けて、自ら演劇部を選択した。発声練習は今でも苦手だが、冬の校内公演では舞台に立ってやや自信を持ったようだ。スタッフとしては、衣服を塗料だらけにしながら頑張っている。学校も部活動もまったく休まない。顧問に対してもためらいがちながらコミュニケーションがとれるようになってきている。同級生とは冗談も言い合える間柄になったが、まだ、下級生との関係を作れずにいる。これからの一年半で、スタッフキャップとして力を発揮し大きく変身するものと楽しみにしている。

5)Eの場合:幼い頃から慢性的な持病があり、中学は特殊学級(病院内学級)を卒業。このため、身体的に未熟な上、対等の人間関係を保った経験が乏しく、置農入学時も親は大変心配した。入学と同時に演劇部に所属。これまで体育など身体的トレーニングの機会は少なかったので、筋力、持久力、等すべてに女子に負ける状態であった。限られた日常生活から表現方法も未熟であったが、数少ない男子ということもあって、常に役者として舞台に立つことができた。体調は常に思わしくなかったが、大変な頑張り屋で、基礎トレーニングなど率先して辛いメニューに挑戦し自分を鍛えた。三年次の長距離走大会では上位入賞するまでになった。これらが大きな自信となって、学業成績も三年間通してクラス一番を通し、三年次では難しい四年制大学の管理栄養学科をOA入試で突破し、進学した。

③生活の安定

 1)忙しく大変な部活動であるが、部員達はほとんど休むことがない。心から楽しんで活動しているため、精神状態も安定しており、生活も規律正しい。部活動だけでなく、学校も皆勤、精勤の生徒がとても多い。

2)部員達は学校生活全般に対して意欲的である。また、礼儀正しいので校内での評価も極めて高い。

④学校の活性化

 1)熱心で意欲的な活動が他の部の手本となっている。       

2)チアーダンスなど、演劇部の特性を生かして、他の部の応援にも積極的に参加し、学校全体のやる気を盛り上げている。

⑤地域への貢献

 1)子どもミュージカルの公演を通して、地域の中で役割を果たすことができている。

2)各種の町文化行事にボランティアとして参加し、大変評価されている。

3)卒業生が地域の劇団に入団し、地域文化を支える一翼を担っている。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする