ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

台本改訂:『壁20XX』

2012-09-18 21:13:39 | 演劇
 さっそく、大会作品『壁20XX』の書き直し作業に入った。主たる改訂点は、婆さんたちの扱い、って言ったって見てない人にはわからないよね。今回の作品には姥捨て山が出てくる。と言っても昔の話しじゃない。近未来、バブルが弾けて廃墟となったリゾートホテルに婆さんたちが住み着いているっていう設定だ。

 どうだろう?これを面白いと思うか、荒唐無稽でリアリティなしと退けるか、そこが舞台に対する評価にも大きく影響するところだ。どうしたら、多くの人に納得の行く描き方ができるか、最初から悩みだった。簡単に言ってしまうと、寓話として描くか現実として描ききるかって選択だ。

 で、先日の大会では思い切って寓話的に表現してみた。服装もみな時代かかった着物にタッツキ、足袋はだし。台詞も渡り台詞を主体に個性を消して、婆さんたちの不思議な存在をアピールしてみた。だから、舞台上でも、客席を向いて半円形に座らせた。敢えて民話風の扱いをしたわけだ。台詞回しも5人の婆さんで極力平板にした。いや、そのときの彼女たちにはそれしかできなかったんだけど。

 これはこれで悪くはなかった。でも、満足できるかって言うと、うーん、やはり首をかしげてしまった。世間からはじき出された年寄りの恨み辛み、それがずしーんと客席に届かなかったってことだ。だから、どうしても物語が軽くなってしまった。これは審査員から指摘されたことでもあった。

 そこで、最初のアイディアを生かして、5人の婆さんのキャラクターを際だたせることにした。そう、当初はそのつもりで、役名も婆1、婆2,なんてことでなく、それぞれ個性を表現する名前が振られていたんだ。捨て婆、泣き婆、しっかり婆、仏の婆、なごりの婆、そう、この命名を十分に台詞に生かしてみようって考えた。

 言葉使いも変え、姥捨て山にたどり着いた経緯についても書き添えた。ただ、そっくり今風になれば、逆にこの設定そのものが胡散臭くなってしまうので、渡り台詞的なものも残しつつ書き換えるという綱割りを決行中だ。衣装も今と昔の混在になるだろうし、道具もシルバーカーや車いすわ使うつもりだ。もちろん、動きも変える。

 さて、こんな風に大幅に台本を書き換えるようになったのは数年前からだ。以前は書いたらそれっきりだった。頑なって言うか、面倒がりって言うか、いけいけどんどん!って言うか、見えなかったんだと思う、他の可能性が。でも、今は自分の書いたものの良さも足り無さやウスぼんやり見えている。そして、その、いかんなここは、って部分を直して行こうっていう忍耐力も付いてきた。部員たちも書き直しに適応する力を身に付けた。これが、部としても書き手の私としても、間違いなく成長なんだろうな。

コメント
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