ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

Netflix『新聞記者』1晩1話!

2022-01-28 11:30:29 | Netflix

 評判の『新聞記者』だからねぇ、大切に1晩に1話ずつじっくり見た。その都度、感想が大きく違うんで、なんとも戸惑っている。以下ネタバレありなので、要注意!

 第1話見たときは、うーん、俺がNetflix に求めてるのとは違うなぁ、モリカケ・桜にまつわる気色悪く腹立たしい実話はほぼ追ってきてるし、今さらこの話し描かれても、ほぼ知ってる内容だもの。もっと、行く先知らずの破天荒なドラマが見たいんだよ、でなきゃドキュメンタリー。

 って、ことで拍子抜け、だったんだが、第2話はもう涙涙の1時間弱になった。赤木さんの自殺はもちろん知ってる。その前後の彼の懊悩、そして錯乱ついには自死。奥さんが取った動画も見た。だから、今さらと思っていたら、吉岡秀隆の鈴木さんには引き込まれた。うん、これが演技の力、芝居の魅力、記録を立ち見するのとは違う臨場感、まさに鈴木さんの死に至る過程に立ち会えたな。

 第3話、新聞配達の青年が鈴木さんの甥だったってよ。植物人間状態の男性、これが松田記者の兄で政権の悪役に楯突いた男、えっ?さらに、改竄を指示した首相夫人付き役人が、以前の職場で男を慕っていたって絡まって来たぜ、おいおい。そりゃ安易なストーリー作りじゃねえか?

 そうなぁ、森友問題や赤木さんについてあまり詳しくない人たちには、ぜひ見て欲しい、とは思うが、多分、そういう人たちはNetflix入ってないだろうし、入ってたとしてももっと気楽に楽しめるエンタメ見てるだろ。

 と、なると、どこまでも真相解明に突き進む米倉涼子の松田記者の姿をメディアの連中に見せつけてやりたいところだが、ネットの感想にゃ、「朝の社会部はあんなに人はいない」とか、「特ダネ取ったら飛び上がって喜ぶはず」とかしょうもない末節あげつらってたぜメディアの先輩たち。そういうもんなんだよ、批判の矛先がかすめた連中てのは。末節の誤りほじくり出して批判をかわした気になるんだ。

 それに、現実には望月記者(作品中では松田記者)は他社の記者連中に信じられないような痛い目にあってる。例えば、官房長官記者会見でも、1問1答で逃げようとしたり、敢えて挙手を無視したりする菅に対し、追及を続けようとする望月さんを、冷笑や非難の声浴びせたりしたのは官邸番の記者たちだった。しかも、なんと!菅ではなく、記者仲間の望月さんに自制を求める決議までした。ドラマに彼女と競い合う記者たちが登場しないってのは、どうなんだ?タイトルからしたって、片手は落としてるんじゃないかい?

 一方丁寧に描かれているのは、真実と権力との板挟みにあって苦しみもがく官僚たち。鈴木さんの直接の上司黒川、田口トモロワの薄みっともない誠実さが心に残った。事件解明に動く下っ端検事、それと、物語のもう一つの中心、改竄を地方財務局に伝えた、首相夫人の秘書官後に政府内閣調査室・内調に回された村上、みな誠実に自己の行いを問い、自身の不実に悶えている。改竄を上で指示した理財局長の毛利でさえ、退職後飲んだくれて悶々としている。

 こういう真っ当な官僚の姿、ぜひぜひ、すべての役人、官僚に思い出して欲しいところだぜ。なんなら、この映画、全官僚の研修課題にしてもいいんじゃないか?なぁんて、きっと笑い話にもならんだろうさ。だって、改竄に関わった現実の役人たちみんな、その功により出世してるんだもの。こんな映画ごとき、へんって舌出してあざ笑ってるに決まってる。

 検察だって、モリカケはおろか、桜を見ね会だって、お咎めなしでスルー。赤木さんの奥さんが政府相手に起こした民事訴訟に対しては、認諾!「はいはい、あなたの言う通り、お金出すからこの問題もう終わりにしましょうね」ってふざけんじゃねえよ。伊藤詩織さんの民事訴訟勝訴あったて、刑事訴追やり直す気配はまるでないからな。あっ、メディアに戻れば、NHK、未だに伊藤詩織さん勝訴のニュース流してないからな。

 だからさぁ、解決編の第6話となると、あまりに調和的で、痛ましささえ感じちまった。最後の最後まで、この先絶対どんでん返しが待ってるぞ、権力側の陰湿なしっぺ返しが始まって終わりだ、って暗い予感で見ていたら、あららら・・・そんな心地よくまとめなくていいから!

 何もハッピーエンドだけがエンタメじゃないぜ。現実は、もっともっと救いようがないところまで行きついているんだと思う。そう、ツイッターで誰かが言ってたけど、現実はもっとエグイ!!

 メディアはお上の発言を垂れ流す(大本営発表)のが報道のあり方と信じ込んでいるし、官僚はつじつま合わせも忖度も通常業務とみなしてる。若者だって、今のそこそこ社会が続くんならいいんじゃない、って正義感とはおさらばしてる。

 もっと深く鋭く現実に突き刺さる表現、エンタメだってできるはずだぜ。だって、お隣じゃ『イカゲーム』とか『パラサイト』作ってるじゃないか。

 

 

コメント
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