菜の花座公演『フェイクVsフェイク』無事?終了。ミスもあったけど、まっ、2か月の稽古期間の割には、よくあそこまで仕上げた。台本遅延で迷惑かけた立場としては、感謝しかない。
役者たちは二つの作品、どちらも熱演だった。この舞台で大きく成長した役者も少なくなかった。
ただ、客席が寂しかったのか、ちょっと・・・
これまでの半分程度の入りだったんだったなぁ、これも台本遅れのせい?ここに来てコロナが勢い盛り返して来たてのも大きいかな?
客席が閑散としていると、お客さんたちの気持ちも盛り上がらない。中に笑いや拍手で応援してくる人もいて、その声援が励みにはなったけど、もっと、ホール全体が熱く盛り上がるよう努力しないとね。
も一つ盛り上がらない理由は、作品のテーマのせいだったかもなぁ。フェイクとかSNSとかって、高齢者の多い菜の花座の観客には、ピンと来なかったかもしれない。高齢者のケアハウスに場所を設定したとしてもだ。
年齢が高い、ってことばかりじゃなく、地方の年寄りの興味関心の向かう方向が違ってるってこともあるんじゃないかと感じた。田舎はまだまだお茶のみの世界だからなぁ!スマホやSNSで社会と繋がりたい、なんて主人公の願いは、どこの話し?何のこと?って脳内を痕跡残さずスルーしたことだろう。
後半の『捏造不倫』にしても山場は、ツイッターの連投と”いいね”の連打でフェイクニュースを拡散してバズらせるってシーンだ。これなんか、高齢者でなくても、地方在住者には縁遠い世界なんだと思う。
書く側の独りよがり?うん、そう見なされても仕方ないかもしれない。こちらの問題意識と観客の見たい世界とが乖離してしまってるってことだ。
まっ、今に始まったことじゃない。地域の人たちの好む話を舞台に乗せるって気配りはほとんどしてこなかった、俺の場合。高校演劇でも、高校生の生の声とか等身大とかってまるで興味なかった。
疫病で見捨てられる年寄り、とか、クローン人間の肉体代替利用の問題とか、3.11以降海上を彷徨う霊魂の寄る辺なさとか。限界集落にとどまる老婆と座敷童の交流とか・・・あっ、なんか、ちょっと時代を先取りしてたんじゃないか?
地元の観客なんて無視して書いてる、ってわけじゃない。縁遠いテーマをできるだけ身近に引き寄せて面白く描くって努力はしてきたつもりだ。が、結局力量不足ってことなんだろう。
第1話『年寄りに告ぐ』なんて、ずいぶんサービス?して家族に見捨てられる老人とか、新興宗教「金豚運」の教祖、
これ統一教会の壺とマザームーンのパロディになっていた気がするんだけど、とか、ギャンブル狂の男とか、年寄りの世話にうんざりしている介護士のねぇちゃんとか、分かり易いキャラクターを散りばめたんだけどなぁ。
今さら、地域の課題を探して書く、なんてことするつもりはない。これからもこっちの関心のあるテーマを書き続けるさ。ただ、その少し遠くにある話題を、いかにお客さんの心と頭脳に突きさすか?ここの配慮と手立ては、もっと、もっと、練りに練って仕込んで行かなきゃならんだろうな。
そう、そこが不足の部分なんだからな。