「もみ殻、要らねえか?運んでやるよ」Ⅰさんからの一言。おうおう要るともさぁ、燻炭作るのに貰いに行こうと思ってたとろだ。
稲刈り、脱穀が済めば、来年の準備、中でも、燻炭作りはこの時期を逃せない。11月も半ばになれば、季節風、びゅっびゅと吹き荒れるようになっからねぇ。穏やかな天候が続く10月中にやってしまわねばならんのさ。
もみ殻を炭のように半焼きした燻炭、苗床土には欠かせない。栄養価はほぼゼロだが、土の間に空隙を作ったり、水持ちを良くしたり、何より、清浄化作用が大きい。土壌中の有害物質や邪魔者菌の悪さを抑えてくれる。堆肥とかボカシは発酵が不十分だったりすると、時に作物の生育を邪魔だてしたりもするんだが、その時、この燻炭がワクチンのような予防効果を発揮する。
今年のイネ育苗では、燻炭が不足して、ヤキモキしたから、この秋はたっぷり作らなくっちゃ!って思ってた矢先だ。ありがたいねぇ、助かるねぇ。と、運んでもらったのが軽トラ1台、山盛り?いや、専用のもみ殻コンテナにぎゅう詰めのもみ殻!多いぃぃぃぃ!例年運ぶ量の優に2倍はあるぜ。まっ、まぁ、たくさん作ろうと思ってたから、いいか、って貰っといて、有難迷惑なんて言っちゃおれんさ。
晴天弱風の日を見澄まして、もみ殻に点火。雨に当たって、どんどん燃えるはず、との思惑は簡単に覆った。多いんだぜ、ともかく、多過ぎるんだぜ。午後になってもさっぱり火が回らない。煙突からは煙、もっくもくなんだが、外観は変化なし。
これじゃ夕方までに全体蒸し焼きなんてできないぞ。うーん、風、吹いてくれた方がいいなぁ。なんて、勝手な願望。とても全量焼けっこない、よし、1/3ほどは次回回しにする。と隣にも一つ山を作った。
夕闇迫る頃になってようやく表面まで火が回り始めたが、こののんびりペースじゃ夜通しかかる。まさか、寝ずの番で見守るなんて、そんなぁ。こうなりゃ非常手段だ。中心部にスコップ突っ込み、赤々と火が熾っている部分を掻き出し、外側の部分と混ぜてやる。おっ、風も強くなってきた。いいぞ、風速4メートル?火吹き竹効果だぜ。おぅ、風に煽られてかっと燃え上がる。その調子、これなら火が回る。
が、ちっと強すぎじゃねえか?炎が上がり始めたぞ。火の子も飛んでる。幸い、風下は田んぼとブドウ畑だけだから、延焼の恐れはない、が、こうも炎が上がると、消防暑に連絡されたりしやしないか?30分に一度の見回りが10分ごとになり、ついにつきっきりで火のお守りをするはめになった。もう、空は夕闇、燻炭だけが赤く妖しく火照っている。燃え残り部分を掻き回しちゃ、たぎり立つ火を抑えつつ全体を炭にしていく。風はますます激しくなってきている。
ダメだ!もうこれ以上火を点けておくわけにゃいかん!消火活動開始だぁぁぁ!ホースを引き出し、水を掛ける。燻炭の火力ってもの凄いから、ちょっとやそっと水を浴びせたって、鎮火したりしない。こちらの煙が収まれば、今度は向こう、中央がやっと静かになったと思えば、風に煽られ外側でパッと炎が上がる。
水をかけ続けること20分!ようやく煙が見えなくなった。ひとまず、消火活動は中止。でも、甘く見ちゃならない。くすぶり続ける燻炭、熱が溜まればすぐに燃え始めるんだ。以前、油断してせっかくの燻炭、すべて灰にしちまったことがあった。この後も、数時間おきに見回りが必要だ。夜寝る前まで。
翌日、さっそく燻炭を見に行けば、ほぉーらね、また煙が立ち上ってる。放水!そんないたちごっこを丸一日繰り返した末、夜中、雨が降り始めて、よぉし、これで燻炭もおとなしくなったぜ!
別に分けた一山も近いうちに火を点けなきゃなぁ、と思いに浸っていたら、なんとぉ!
「も一台持ったて来た」って、おいおい、もういいよ。と断れない、こちらの弱み。日頃お世話になってるIさんだからなぁ、まっ、もみ殻堆肥作りもあるし、いいよ、いいよ、置いてって!
ふう、燻炭焼き、あと2回はやらにゃならんのかぁ!あぁ!
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