『おもかげチャンチキ』の2回目の公演が終わった。いやー、厳しい!アマチュア劇団にとって、同じものを日にち隔てて二度打つってのは、思いの外辛いもんだ。連続してやるなら問題ないんだ。2ヶ月あいだおいて再演てのは、とっても微妙。セリフも演技もそこそこに入っているから、どうしても稽古に身が入らない。かといって、高校生みたいに暗記力バンバンの年頃じゃないから、結構、抜けてる。盆明けからの1ヶ月で仕上げるって計画も大幅に変更、結局、本場前一週間の追い込み稽古でどうやらこうやら様になった。やれやれだ。
さて、前回と比べて出来の方はどうだったか?これがまるで違う芝居になったような変わりようだった。二回とも見てくれた人からは、台本手直ししたの?って質問が飛び出したほどだから。笑いはずっと押さえられて緊張感がびりびりと伝わってくる舞台になった。役者一人一人が、前回を越えようと必死で取り組んでいたからね。特に、稽古も中盤を過ぎて、一人が画然とレベルアップすると、他の役者たちの目の色も変わってきた。負けてられない、って競争意識が上手に働いて、結局、全体に心のこもった演技になった。
幕間のチンドン屋はさらに宣伝希望のお店が増えて、5割増しになった。セリフの増えた分は若いさおりと絵美にふった。菜の花座のエンターテイナーさおりの人気は、これで急上昇だね。チンドンメンバーが楽しくできたって言ってたことが何よりだ。あっ、そうそう、僕のサックスも無難にできたから。
前回の課題、シリアスなシーンで笑われた!あのリベンジ戦では、一勝一敗ってとこかな。熟年幸司が共感した泰枝に抱きつかれるシーンは、泰枝役の摩衣が気持ちの入った演技でしっかりと雰囲気を作って、見ている者がぐっとくる場面になった。
一方、青年幸司が教え子の千晴の苦し紛れの嘘に付き合ってしまうシーン、これはやっぱり笑いがおきた。で、その時に思ったのは、ああ、これってドン・キホーテなんだ。だから笑われて当然なんだってことだった。少女の窮状に心動かされて、お腹の子どもは自分の子だ、なんて言い切っちゃう男ってどう考えても、まともじゃない。突拍子もない正義感とか同情心で、一線を越えてしまうわけなんだから。だから、ここは笑われてもいいの!大切なのは、その笑いにこもった優しさなんだって考えた。嘲りだったら、これはストーリーそのものが失敗だったってことだ。でも、そうじゃなかった。馬鹿な奴だな、と笑いながらも、そんな風に言い切れる幸司を、お前いい奴だね、って暖かく見守ってくれている、そんな空気が流れていた。
プラザ演劇祭の一環ということで、前後を他の公演に挟まれて、ゲネプロさえまともにできない公演だった。装置の全取っ替えが2度、パネルは20枚以上、照明の色作りはわずかに1時間半、場転練習もほとんどできない状態で、よくあそこまで仕上げてくれたと思う。キャスト、スタッフ一人一人が全神経を集中させて取り組んだ成果だ。
無事幕が降りて、いよいよカーテンコール!拍手が続く。でも、始まらない。イライラ!おい!なにしてんだよ、お客さん拍手止めて帰っちゃうよ、と気をもむこと1分超!拍手は最初の勢いのまま続いて、ようやく幕が上がった!暖かい拍手が役者一人一人に送られた。
ありがとうございました、観客の皆さん!フレンドリープラザの皆さん!!
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