アヴェ・マリア!
愛する兄弟姉妹の皆様、
今日はルルドにおける無原罪の御宿り聖母マリア様の御出現の祝日です。
スビヤコ(スビアコと書かれているみたいですが、イタリア人の発音を聞くとどう聞いてもスビヤコと聞こえるのでスビヤコと書いています)の聖なる洞窟からルルドのマッサビエルの洞窟に黙想が移った感じですね。
いかがお過ごしでしょうか? もうずっと前のことですが、兄弟姉妹の皆様からご質問がありましたのでお答え致します。
【御質問】
小野田神父様。
今、今、あの破門の撤回ニュースを知りました。
一体何がローマにあったのですか?
私は混乱しています。
これは罠ですか?
どうしてあれはルフェーブル大司教様の無効な破門について言及していないのですか?
これは本当の慶びですか?
あれを信じてよいのですか?
一体全体何が起こったのか、何もわかりません。
これから私は聖ピオ十世会のために何をすればよいですか?
これで聖ピオ十世会はあのリベラル狼とコンサバ狐に取り込まれてしまうのですか?
【御返事】
ご質問をありがとうございました。お返事が遅れてしまってごめんなさい。
「どうしてあれはルフェーブル大司教様の無効な破門について言及していないのか?」これは悲しい点です。
自発教令「スンモールム・ポンティフィクム」の文書の中に、肯定的な点と否定的な点があったのと同じように、確かに、レ枢機卿の2009年1月21日の教令には、幾つかの疑問点があります。それと同時に、幾つかの肯定的な点もあります。
肯定的な点
(1)この教令によってカトリック聖伝に対する「破門」が無効であると宣言されたこと。何故なら、1988年6月30日に聖別された司教様たちへの「破門」は、すなわち、聖ピオ十世会やその信徒の方々、そしてカトリック教会の過去全体への「破門」へと拡大解釈されていたからです。そこで「破門」無効宣言は、カトリック教会全体の利益につながるからです。
(2)この教令は、司教聖省長官によって署名されていること。何故なら、聖ピオ十世会を貶めようとしてきたエクレジア・デイ委員会がサインしたものではないからです。
(3)キリスト教一致週間について何の言及もないこと。何故なら、聖ピオ十世会はエキュメニズムの対象ではないからです。
(4)聖ピオ十世会は、カトリック教会を襲う危機のために苦しんでおり、教皇様にそのための助けとなる神学的な話し合いをすることを願ってきましたが、この教令はこの教義に関する話し合いが「必要である」と認めていること。何故なら、聖ピオ十世会が「属人区」式であろうと「従軍教区」式であろうと、ローマが望むような教会法的タイトルを受ける前に、聖ピオ十世会は、カトリック信仰についてまた第二バチカン公会議について私たちはどうしても神学的に話し合わなければならないからです。
否定的な点
(5)この教令は、1988年7月1日にこの聖省によって宣言された伴事的破門の刑罰が全く無効であったとはっきりとは宣言せず、上記の日付で出された教令を、2009年1月21日の日付より、教会法上の効力が無いと宣言する、と言うに留まったことです。
スンモールム・ポンティフィクムの場合には、聖伝のミサが決して廃止されていなかったとハッキリと断言したように、1988年7月1日のいわゆる「破門」は最初から決して有効ではなかったと言うことを私たちは求めていました。
しかし、フェレー司教様を始めとする4名の司教たちは、カトリック教会の危機に対して対策を打ち出したいと願っている教皇様のメンツを考慮し、最新の教令が昔の教令を反古にし無効としたという点を好意的に受け止めようとしたのです。
過去20年のことは、将来カトリック教会が聖伝に立ち戻ったとき、自ずと明らかになることでしょう。今は、将来に向けて、カトリック教会全体の為に危機に対する対策を教皇様に申し上げるべきであると考えたのです。
(6)ルフェーブル大司教様のお名前が明記されていなかったことも残念でした。しかし、権威ある教会法学者の中には、最後の「教会法上の効力が無いと宣言する」という無効宣言により、暗黙のうちに故人となってしまったルフェーブル大司教様とデ・カストロ・マイエル司教様とに対する「制裁」も教会法的効果を失ったと考える人々もいます。もちろん、私たちはこのような暗黙のうちの理解に満足するわけではありません。私たちは、将来、この二人の偉大な司教様たちの名誉が完全に回復されるために全力を尽くすつもりです。
世界中のカトリック教会全体の利益のために
聖ピオ十世会は、ルフェーブル大司教様の足跡を慕いながら、ルフェーブル大司教様が常にそうしてきたようにカトリック教会全体の利益を常に考えてきました。
聖ピオ十世会としては、聖ピオ十世会だけが聖伝のミサをすれば良いのではなく、カトリック教会の全ての司祭たちが当然持っている聖伝のミサを捧げる自由を求めてきました。
レ枢機卿の引用は、歪曲化されていましたが、4名の司教様たちは自分たちのことというよりは、1988年の「破門」のために、カトリック教会の少しでも聖伝を守ろうとする司教・司祭・信徒の方々「ルフェーブル派」のレッテルをはられ、いわばカトリックの聖伝が「破門」されている、このために現在の状況は聖伝を守ろうとする全てのカトリックを多く苦しめている、と訴えたのでした。
聖ピオ十世会は、「属人区」式であろうと「従軍教区」式であろうと、ローマが望むような教会法的タイトルを提案されることでしょう。聖ピオ十世会がサインさえすれば、聖ピオ十世会だけは特別の地位に着くことができるかも知れません。
しかし、聖ピオ十世会だけが「博物館」或いは「動物園」の檻の中に入って、昔のカトリック教会はこうだったのですよ、今でも絶滅しつつある種がこうして残っているんですよ、しかし皆さんはこうあってはいけませんよ、と言われる存在であることを望みません。
聖ピオ十世会は、カトリック教会全体の利益のために、カトリック教会の2000年の聖伝の名誉のために、全世界のカトリック教会全体にとって、カトリック信仰についてまた第二バチカン公会議について、神学的に話し合うことを望んでいます。カトリック教会の危機は、聖ピオ十世会だけの問題ではなく、カトリック教会全体の信仰の危機であるからです。
これは聖ピオ十世会をして第二バチカン公会議を飲み込ませるための「罠」だったのかもしれません。しかし、ベネディクト十六世教皇が聖ピオ十世会の求めていた2つの前提を満たすように特に働きかけていたことを認識しているので、(5)1988年7月1日に宣言された伴事的破門の刑罰が全く無効であったことが明確に宣言されていなかったこと、そして、(6)ルフェーブル大司教様のお名前が明記されていなかったことをもって、これを大問題としてドラマとすることなく、不完全ながらも教皇様との信仰についての必要な話し合いに移ろうということになったのです。
ローマとの話し合いで、聖ピオ十世会の代表が信仰の話をちゃんとすることができるようにお祈り下さい。政治の話でも細かい教会法の話でもなく、まずは信仰の話です。バチカンは私たちの長上にカトリック信仰の話ではなく、枢機卿にしてあげようとか、その他この世的な話で釣ろうとすることがあるかも知れませんが、信仰の話をし続けることができますように。
これからも聖ピオ十世会のために祈りを持って、聖伝のミサに与り続けることによって、支えて続けて下さい。特に日本のような極東の地で聖ピオ十世会の聖伝のミサが盛んになることは、教皇様を力づけ、教皇様をして全世界に対して強い発言をする勇気を与えることでしょう。
特に私たちは、日本全国に、そして全世界の全ての小教区で聖伝のミサが復活することを望んでいます。聖伝のカトリック信仰が蘇ることを望んでいます。そしてそれによって多くの霊魂が救われることを望んでいます。私たちの願いはそれ以外の何ものでもありません。
天主様の祝福が豊かにありますように!
文責:トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭) sac. cath. ind.
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今日はルルドにおける無原罪の御宿り聖母マリア様の御出現の祝日です。
スビヤコ(スビアコと書かれているみたいですが、イタリア人の発音を聞くとどう聞いてもスビヤコと聞こえるのでスビヤコと書いています)の聖なる洞窟からルルドのマッサビエルの洞窟に黙想が移った感じですね。
いかがお過ごしでしょうか? もうずっと前のことですが、兄弟姉妹の皆様からご質問がありましたのでお答え致します。
【御質問】
小野田神父様。
今、今、あの破門の撤回ニュースを知りました。
一体何がローマにあったのですか?
私は混乱しています。
これは罠ですか?
どうしてあれはルフェーブル大司教様の無効な破門について言及していないのですか?
これは本当の慶びですか?
あれを信じてよいのですか?
一体全体何が起こったのか、何もわかりません。
これから私は聖ピオ十世会のために何をすればよいですか?
これで聖ピオ十世会はあのリベラル狼とコンサバ狐に取り込まれてしまうのですか?
【御返事】
ご質問をありがとうございました。お返事が遅れてしまってごめんなさい。
「どうしてあれはルフェーブル大司教様の無効な破門について言及していないのか?」これは悲しい点です。
自発教令「スンモールム・ポンティフィクム」の文書の中に、肯定的な点と否定的な点があったのと同じように、確かに、レ枢機卿の2009年1月21日の教令には、幾つかの疑問点があります。それと同時に、幾つかの肯定的な点もあります。
肯定的な点
(1)この教令によってカトリック聖伝に対する「破門」が無効であると宣言されたこと。何故なら、1988年6月30日に聖別された司教様たちへの「破門」は、すなわち、聖ピオ十世会やその信徒の方々、そしてカトリック教会の過去全体への「破門」へと拡大解釈されていたからです。そこで「破門」無効宣言は、カトリック教会全体の利益につながるからです。
(2)この教令は、司教聖省長官によって署名されていること。何故なら、聖ピオ十世会を貶めようとしてきたエクレジア・デイ委員会がサインしたものではないからです。
(3)キリスト教一致週間について何の言及もないこと。何故なら、聖ピオ十世会はエキュメニズムの対象ではないからです。
(4)聖ピオ十世会は、カトリック教会を襲う危機のために苦しんでおり、教皇様にそのための助けとなる神学的な話し合いをすることを願ってきましたが、この教令はこの教義に関する話し合いが「必要である」と認めていること。何故なら、聖ピオ十世会が「属人区」式であろうと「従軍教区」式であろうと、ローマが望むような教会法的タイトルを受ける前に、聖ピオ十世会は、カトリック信仰についてまた第二バチカン公会議について私たちはどうしても神学的に話し合わなければならないからです。
否定的な点
(5)この教令は、1988年7月1日にこの聖省によって宣言された伴事的破門の刑罰が全く無効であったとはっきりとは宣言せず、上記の日付で出された教令を、2009年1月21日の日付より、教会法上の効力が無いと宣言する、と言うに留まったことです。
スンモールム・ポンティフィクムの場合には、聖伝のミサが決して廃止されていなかったとハッキリと断言したように、1988年7月1日のいわゆる「破門」は最初から決して有効ではなかったと言うことを私たちは求めていました。
しかし、フェレー司教様を始めとする4名の司教たちは、カトリック教会の危機に対して対策を打ち出したいと願っている教皇様のメンツを考慮し、最新の教令が昔の教令を反古にし無効としたという点を好意的に受け止めようとしたのです。
過去20年のことは、将来カトリック教会が聖伝に立ち戻ったとき、自ずと明らかになることでしょう。今は、将来に向けて、カトリック教会全体の為に危機に対する対策を教皇様に申し上げるべきであると考えたのです。
(6)ルフェーブル大司教様のお名前が明記されていなかったことも残念でした。しかし、権威ある教会法学者の中には、最後の「教会法上の効力が無いと宣言する」という無効宣言により、暗黙のうちに故人となってしまったルフェーブル大司教様とデ・カストロ・マイエル司教様とに対する「制裁」も教会法的効果を失ったと考える人々もいます。もちろん、私たちはこのような暗黙のうちの理解に満足するわけではありません。私たちは、将来、この二人の偉大な司教様たちの名誉が完全に回復されるために全力を尽くすつもりです。
世界中のカトリック教会全体の利益のために
聖ピオ十世会は、ルフェーブル大司教様の足跡を慕いながら、ルフェーブル大司教様が常にそうしてきたようにカトリック教会全体の利益を常に考えてきました。
聖ピオ十世会としては、聖ピオ十世会だけが聖伝のミサをすれば良いのではなく、カトリック教会の全ての司祭たちが当然持っている聖伝のミサを捧げる自由を求めてきました。
レ枢機卿の引用は、歪曲化されていましたが、4名の司教様たちは自分たちのことというよりは、1988年の「破門」のために、カトリック教会の少しでも聖伝を守ろうとする司教・司祭・信徒の方々「ルフェーブル派」のレッテルをはられ、いわばカトリックの聖伝が「破門」されている、このために現在の状況は聖伝を守ろうとする全てのカトリックを多く苦しめている、と訴えたのでした。
聖ピオ十世会は、「属人区」式であろうと「従軍教区」式であろうと、ローマが望むような教会法的タイトルを提案されることでしょう。聖ピオ十世会がサインさえすれば、聖ピオ十世会だけは特別の地位に着くことができるかも知れません。
しかし、聖ピオ十世会だけが「博物館」或いは「動物園」の檻の中に入って、昔のカトリック教会はこうだったのですよ、今でも絶滅しつつある種がこうして残っているんですよ、しかし皆さんはこうあってはいけませんよ、と言われる存在であることを望みません。
聖ピオ十世会は、カトリック教会全体の利益のために、カトリック教会の2000年の聖伝の名誉のために、全世界のカトリック教会全体にとって、カトリック信仰についてまた第二バチカン公会議について、神学的に話し合うことを望んでいます。カトリック教会の危機は、聖ピオ十世会だけの問題ではなく、カトリック教会全体の信仰の危機であるからです。
これは聖ピオ十世会をして第二バチカン公会議を飲み込ませるための「罠」だったのかもしれません。しかし、ベネディクト十六世教皇が聖ピオ十世会の求めていた2つの前提を満たすように特に働きかけていたことを認識しているので、(5)1988年7月1日に宣言された伴事的破門の刑罰が全く無効であったことが明確に宣言されていなかったこと、そして、(6)ルフェーブル大司教様のお名前が明記されていなかったことをもって、これを大問題としてドラマとすることなく、不完全ながらも教皇様との信仰についての必要な話し合いに移ろうということになったのです。
ローマとの話し合いで、聖ピオ十世会の代表が信仰の話をちゃんとすることができるようにお祈り下さい。政治の話でも細かい教会法の話でもなく、まずは信仰の話です。バチカンは私たちの長上にカトリック信仰の話ではなく、枢機卿にしてあげようとか、その他この世的な話で釣ろうとすることがあるかも知れませんが、信仰の話をし続けることができますように。
これからも聖ピオ十世会のために祈りを持って、聖伝のミサに与り続けることによって、支えて続けて下さい。特に日本のような極東の地で聖ピオ十世会の聖伝のミサが盛んになることは、教皇様を力づけ、教皇様をして全世界に対して強い発言をする勇気を与えることでしょう。
特に私たちは、日本全国に、そして全世界の全ての小教区で聖伝のミサが復活することを望んでいます。聖伝のカトリック信仰が蘇ることを望んでいます。そしてそれによって多くの霊魂が救われることを望んでいます。私たちの願いはそれ以外の何ものでもありません。
天主様の祝福が豊かにありますように!
文責:トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭) sac. cath. ind.
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