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聖ピオ十世会アジア管区長 クチュール神父様へのインタビュー(その2)

2011年07月26日 | 聖ピオ十世会関連のニュースなど
アヴェ・マリア!

愛する兄弟姉妹の皆様、こんにちは!

 今朝、真夜中に寝ていると、マニラでは地震を感じました。ザンバレスというところが震源地なのだそうです。日本でも多くの余震が続くと聞いているので、すぐに日本の愛する兄弟姉妹の皆様のことを思い出しました。
 マニラでは、メディカル・ミッションが月曜日から始まっています。

 では、聖ピオ十世会のアメリカ管区ではクチュール神父様へのインタビューの続きをご紹介します。

愛する兄弟姉妹の皆様の上に天主様の祝福が豊かにありますように!

トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)



アジア管区長 クチュール神父様へのインタビュー(その2)
2011年 7月6日


[聖ピオ十世会アジア管区長クチュール神父のインタビュー]


神父様、中国の問題に戻りましょう。中国で何が起きているか興味のある訪問者や読者がたくさんいます。最近では、メディアが中国における司教様方の選挙、指名、聖職受任について報道しています。これはバチカンの権威にのっとったものなのか、そうでないのか、あるいはそれに反するものなのか。中国の状況の困難さについて論じていただけますか?カトリック教会と国立愛国協会との争いについてやこれらに関するここ数年のバチカンの見解を教えていただけますか。

[聖ピオ十世会アジア管区長クチュール神父のインタビュー]


クチュール神父様  中国は非常に複雑です。フランス語にはこんな言い方があります。C'est du chinois. 「それって中国語だ。」これは何か理解に苦しむ時に使う口語表現です。これはとても精密で難しい中国語だけを指すのではありません。私たち西洋人は、彼らを理解するのが難しいのです。でも宗教的状況になると、これもまた非常に微妙で難しいのです。

 地下教会のカトリック信徒(訳者注:中国共産党に忠誠を尽くさないために迫害を受けているローマ・カトリック教会のこと)は、本当に教会の権威から裏切られ、見捨てられ続けています。いくつかの事件について私は聞きました。

 例えば、ある司祭たちがヨーロッパから来て地下に潜伏している神学校を数時間訪問し、なんの金銭的物質的援助も与えませんでした。次に同じ司祭たちが愛国協会(カトリック教会とは別に平行する教会で、中国共産党政府公認のもの。中国天主教教友愛国会。)の政府の管理下におかれた神学校に行き、数週間を過ごし、そこでお金や物資を与えてきました。別の教区では、私の間違いでなければ、愛国協会の司教が、バチカンの承認を受けて、地下教会のカトリック信徒の頭となりました。そこには司教がいなかったからです。みなさんはこれがどれほどの混乱かお分かりいただけると思います。例えるならば、第二バチカン公会議の司祭が聖ピオ十世会のある地区の管区長となったようなものです。私が思うに、これがヨーロッパならば、このような事態は長く続かないでしょう。

 中国における、困難な状況については次のようなことが挙げられます。いくつかの教区では、司教が二人存在します。愛国協会司教と、カトリック地下司教です。二つの教区に至っては、司教が3人存在します。その教区ではよく知られた愛国協会の一司祭が言いました「もしカトリック地下司教が死んだら、愛国司教は彼の地位を継承するだろう」と。この愛国協会司教は、バチカンによって補佐司教として任命されています。

 愛国協会の司祭たちがそう言っています。現地に行った知人によると、今では聖伝ミサを行ない始めている愛国協会司祭がいる、と言っているのを私は聞いたことがあります。これらの非常に微妙な状況を考え合わせると、混乱の度合いは、まったく複雑怪奇です。

 共産党のメンバー・カードを持たないながら、愛国協会の公式会員である聖伝ミサを行う司祭たちもいます。彼らは聖伝ミサを捧げ、カトリック地下司祭は新ミサを捧げています。私は、毎週日曜日に聖伝ミサ捧げる義務のある若い愛国協会司祭を知っています。私は彼に尋ねました「ミサのカノンのとき、どちらの司教様の名を用いますか?」彼はざっくばらんに答えました。「私は、正規の司教様、カトリック地下司教様の名前を使います」これは、愛国協会の司祭の話なのです!ですから、彼でさえ自分を叙階した司教様の名を用いないのです。彼が使うのはカトリック地下司教様の名前なのです。彼は、このようなことを会衆の前で聞こえるように言ったのです。「数日後に、愛国協会で叙階式があり、若い司祭が愛国協会司教によって叙階されるでしょう。でも、まさにそれと同じ日、彼らはカトリック地下司教を訪れ、そこで、もう一度叙階してもらうでしょう。」こういうことは、中国では一般のこと、よくあるありふれたことなのです。頭痛がします。ですから、私たちはこれ以上、どうしたらいいのか判断がつきかねています。

 中国全土で、ちょうどこれと同じような状況が起こっています。これはとてもひどい大混乱です。ある司教総代理は、ローマにももう希望はないといっています。なぜならローマが何を考えているのかわからないからだ、と。ちょうど、ローマが、ウクライナで10年から20年前にしたように、カトリック地下教会を犠牲にしているからでしょうか。私には解りませんが、時々、昨今のローマでは、善良なる天主様より政治が優先されている印象をうけます。心が傷みます。

数年前に、逮捕された司祭を知っています。彼は5日間牢獄に投獄されました。複雑なことはしませんでした。5日間眠らせず、ずっと立たせ、飲ませず食わせずでした。それだけです。司祭は全てを話しました。この種の拷問はなんの証拠も残しません。彼らはとても簡単なテクニックを使います。

 ですから、中国の本当のカトリック信徒が見捨てられていると感じているのに加えて、こういった混乱があるのです。もっといえば、バチカンによって指名された愛国協会司教が行う叙階の正当性についての疑義もあります。カトリック地下教会の司教様で、愛国協会での司教叙階式についての研究論文を書いた方がおられます。この司教様は、これらの司教叙階が無効であると結論づけられました。(訳者注:無効とはinvalid の訳で、秘蹟が秘蹟として成立していない時に使われる。非合法や不当とは、illicit と言われ、秘蹟としては有効であるが、その秘蹟をすることが許可されていない時に言われる。)

 ローマが「あなたの罪を赦します。あなたを承認します」と口先だけで言うことは、叙階を有効にするのに十分ではありません。もし、その司教が有効に司教と聖別されていなかったのなら、彼の叙階したすべての司祭も有効なものではありません。そして、わたしがちょっと前にいったように愛国協会で叙階された若い司祭は、もういちど、カトリック地下教会の司教様に再び叙階してもらいに行くのです。ある司教様は、もう一度司教聖別をしてほしいと言ってくる愛国協会で司教となった人々が何人も訪ねてきた、言っています。愛国協会の司祭叙階と司教聖別の有効性には疑義があります。重度の混乱です。

 ですから、ローマでは、言うならば十字架の印をするだけで、このような叙階や司教聖別を承認しようとしているのでしょうか。それだけでは、問題解決にはなりません。さらに悪いことに、そうすることによって、ローマは司教聖別の有効性が疑われる状況に同意し、祝福を与えていることになるのです。


現代、アジアにおける殉教者についてよく語られます。一方で、中国において、今でもなお力を誇る共産政権の下で迫害を受けている人がいます。また他方ではイスラム教によって迫害されている人たちについてお聞きします。これは、今日におけるアジアの真実ですか?

[聖ピオ十世会アジア管区長クチュール神父のインタビュー]


クチュール神父様 おっしゃるとおりです。宣教に従事する者は、マレーシア、インドネシア、そして中東では非常に慎重にしなければなりません。注意しなければなりません。そこでは、信徒たちはほんのひとにぎりしかありません。インドでは、未だに殉教者があります。キリスト教徒は、男性も、女性も、司祭までも、生きたままで火あぶりの刑に処せられたり、修道院、孤児院、教会の前で銃殺されたりします。これらの孤児院や教会は、焼かれたり壊されたりしています。このようなことはほとんどのように毎月起こっています。数箇月前、北インドで激しく迫害されているカトリック教徒が助けを求めるメッセージが、全世界に広まりました。インドのゾウの事件を知っていますか。

 どんな事件が起こったのか、教えていただけますか。

 クチュール神父様 そうですね、わたしも詳細に至るまで全てを知っているわけではないですが、話によると、一年前、ある集団がカトリック教徒の村に来て虐殺と迫害を行いました。教会までも焼かれたと思います。翌年、まさに同じ日、森から野生のゾウの群れが村にやってきて、今度は、以前カトリック教徒に恐怖を与え、迫害した人の家を攻撃しました。しかしカトリックの家には何もしませんでした。ほとんど聖書の世界です。聖書の、預言者とクマの話に似ています。でもこれはインドで最近起きたことなのです。スリランカのコロンボ大司教区がこの話を公にしていますから、誰でもウェブサイト上で見つけることができます。

善良な天主様は、今日、ちょうど過去においてもそうであったように、動物ばかりではなく自然界までもお使いになるのは興味深いことです。2004年におきた津波のことを申し上げています。メディアでは報道されませんでしたが、まさに現地であるスリランカに、2004年のクリスマスの2日前、スリランカ全土、特にコロンボのカトリック共同体の中で、バス広告、広告用掲示板にある文字が並びました。「赤児のイエズスって、愚かで弱くない?」クリスマスの直前、彼らは報いを受けました。4万人の死者のうち、3万5千人が仏教徒でした。南インドのいくつかの寺は、完全に流されました。寺、それは呪いの行われた場所でした。(どういう事がと言うと、例えば、もしあなたが住む街にライバルがいるとします、寺に行って僧侶に布施すると、僧侶はライバルを呪ってくれるのです。)ある寺は、本当に消滅してしまいました。

 天主は馬鹿にしてはいけません。天主は存在し、聖書は、万物は創造主に仕えている、と教えています。時々、善良なる天主様は万物をお使いになります。もちろん、滅んだ人の中に善良な人もいました。戦争のように、こういったことはどこででもおこるのです。でも、天主の正義は存在しているのです。


同じ話題が続きますが、メディアは、日本で起きた大惨事について報道し続けています。これについて教えていただけますか。ミサに与っている日本人から何か情報がありましたか?今日の日本における教会の置かれている状況はどうですか。特に聖伝ミサについてお願いします。

[聖ピオ十世会アジア管区長クチュール神父のインタビュー]


クチュール神父様 津波は、去る3月11日に発生しました。その日まで、ある村には信徒がありませんでした。1週間後、フクシマの隣、原発施設から20キロメートル離れた村からやってきた家族の若い女性に洗礼をさずけました。仏教徒の村でした。天主に感謝。私たちの信者はだれも滅ぼされていませんでした。若い女性の家族も生き延びました。家が流されてしまっただけでした。彼らはひどく怯え、原発施設が爆発すると考えました。でも、爆発は起きませんでした。天主に感謝。

 日本では、2箇所のミサ・センターがあります。ひとつは東京で、もうひとつは大阪です。大阪は、200マイル以上も南にあります。東京も大阪も、とても小さいミサ・センターです。東京では50人の信者、大阪では20人から30人の信者がいます。彼らはとても苦しんでいます。いくつかのウェブサイトでは、これらの村に寄付をお願いしています。日本人は、本当に、とてもとてもありがたく思います。

もし、だれかが日本人に10セント(約10円)あげたとします。日本人は深くおじぎし、そしてその感謝の気持ちは純粋で正真正銘のものです。さて、事態が少し沈静化したら、私たちは彼らを助けることが出来ると期待しています。当面の間、引き続き少し危険が続きます。私は、全てを失った家族を助けるために何か宿泊できるところを建築する計画をたてるつもりです。既に数千ユーロが届いています。そして、ここ数箇月のうちに、どのようにして彼らを助けるか見込みがたつ予定です。

 放射線の危険がまだ続いていますから、人々が自分たちの村から避難して以来ずっと、困難な状況です。彼らは家族や親戚と帰り、自分たちの村にとても帰りたいのです。でも彼らはどこにいったらいいかわかりません。「帰るべきか、帰らないべきか」彼らはどうしたらいいかわからないのです。

 他に特筆すべきこととして、秋田巡礼は5年目を迎えました。秋田は日本北部にあります。いうなれば日本のファチマといってよいでしょう。大きな巡礼になるようにと始めましたが、もちろん、シャルトル大聖堂のようにはなっていません。聖ピオ十世会では毎年、5月の第一週の週末に行なっています。今年は巡礼者が50名に達しました。15人ではじめた巡礼でした。ですから、私たちはゆっくり前進し、良い実りを結びつつあります。

[聖ピオ十世会アジア管区長クチュール神父のインタビュー]


 毎年、洗礼があります。今年は、一人の大人の洗礼が有りました。毎年、信仰のため訪れる人があり、私たちの喜びとなっています。

 ですから、日本のためにお祈りをお願い致します。そして、もし、物質的に援助したい方がいらっしゃれば、どうぞ連絡をください。私たちはできる限りのことをいたします。


神父様がアメリカにこられたのは、信者が祈りに加えて、援助をお願いするため、そしてあなたが広めようとしていらっしゃる本のためでした。この本では、ある中国人女性がマルクス政権によって投獄された話でした。これはすべての章がとても美しいお話で、とても読みやすい話です。どうしてこの方をお知りになりましたか?そしてこの本は、神父様のお仕事や、聖伝ミサやアメリカにおけるカトリック教徒の役に立つものですか?

クチュール神父様  彼女は中国、毛沢東の下、強制収容所で、1955年から1981年までの26年間を費やしました。その後、1989年にアメリカに渡りました。約10年間彼女の小教区で新ミサに与ったあと、聖伝ミサに出会いました。だれかが彼女の手による聖体拝領について、手による聖体拝領は悪いと教えたのです。そして彼女は聖ピオ十世会と出会いました。今、彼女は、聖ピオ十世会の第三会員です。

[聖ピオ十世会アジア管区長クチュール神父のインタビュー]


 彼女は次のような普通では考えられない説明をしました「共産党の監獄における26年間は、聖ピオ十世会の会員となるための最もすばらしい準備期間でした。私にとって最高の修練期間でした」彼女の本は、最近、韓国の聖ピオ十世会で再出版され、現在第2刷です。この本は、フランス語やスペイン語に翻訳されつつあります。この本は、彼女の話、とても簡潔な、いうなればとても美しい章が書かれています。

 彼女が逮捕されたとき、彼女は20才でした。彼女は16才のときに改宗したのです。4年後、彼女はレジオ・マリエの会員であったために逮捕されました。レジオ・マリエのすべてが毛沢東によって監視され、その最初のターゲットが中国におけるカトリック教会となりました。中国のレジオ・マリエの話は普通では考えられないことです。1948年、教皇大使であったリベリ司教様は1947年革命が来ることを感じました。毛沢東は1949年に政権を手にしました。それから、大使はアイルランド人司祭を送りましたがすでに・・・(続く)


--このブログを聖マリアの汚れなき御心に捧げます--

アヴェ・マリア・インマクラータ!
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