「蜜蜂と遠雷」上映の予告編で見たのが「マチネの終わりに」でした。
この同名の本が、単行本でなく文庫で出版されたら読むつもりでしたが、先に映像で主人公のイメージを植え付けられ、それがかえってよかったのか福山雅治と石田ゆり子。

芸術に造形が深く常に世界を見ている平野啓一郎氏は、主人公の一人に世界的に有名なギタリスト蒔野聡史と、もう一人はグローバルに活躍する日本人とのハーフ・国際ジャーナリスト小峰洋子を登場させています。

芸術に造形が深く常に世界を見ている平野啓一郎氏は、主人公の一人に世界的に有名なギタリスト蒔野聡史と、もう一人はグローバルに活躍する日本人とのハーフ・国際ジャーナリスト小峰洋子を登場させています。
たった3回会っただけで恋に落ちた二人。しかし偶然がいくつか重なり二人の運命が・・・。運命に抗うのか受け入れるのか。
芸術家の生き方、恋愛、師弟愛、家庭愛、親子愛、友情、中東の戦火、離婚、親権、映画界、民族、原爆、難民、PTSD、ニューヨークの社交界、リーマン・ショックと世に氾濫するテーマをストーリーの横糸に丁寧に、自然に挿入するところが平野さん流かな。
蒔野の会話『人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?』はこのテーマでもあると思いました。
頻繁に出てくるクラシックギターの曲名はその都度Youtubeで聴きながら重層的に読み進めました。
読み始めて直ぐ映画の主人公の顔は消えて自分のイメージの主人公に変わっていました。
ストーリーがとても緻密に構築された小説で、一冊の世界の枠を越えてイメージが膨らみます。
読み終わって余韻に浸るのではなく、少し重たさが残りましたが、終わりから10ページ分にその「解答」を見ました。
前に読んだ「葬送」のショパンとドラクロワの物語に比べると、恋愛の縦糸が分かりやすいだけにすらっと読めました。
多分映画は観ません。映画と原作を直ぐに比較してしまう悲しい性に縛られそうだから。
逆に先に映画を観たら、多分本は読まなかったでしょう。
\ 追記 \
スマホで投稿した記事をパソコンで見たら写真の「巨大さ」にびっくりしました。スマホの縦・横撮影でも違いが出ます。パソコンで訂正して「中」にしました。スマホでもサイズ変更はできるのでしょうかね・・・