新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

伊集院静『ミチクサ先生』その②... いよいよ金之助(漱石)が誕生

2019年09月28日 | 本・新聞小説
「序章」はナポレオン登場から始まり、日本の幕末のパリ万博への参加です。国内外騒々しくなった幕末に、日本は恐る恐る、いや勇敢にも少しずつ世界に進出していきます。
万博で日本の養蚕、日本独特の工芸品、下絵の構図の大胆さは西欧に驚愕を与え、後にジャポニズムに発展していきます。ここまでが序章。

さて幕末の江戸。幕府の経済は逼迫し武家社会は既に斜陽の相を帯びていました。そんな慶応3年正月、金之助(夏目漱石)が誕生しました。
江戸から東京へ、駕篭屋が人力車に、町方名主制度の廃止など新政府の風は吹きまくります。その庶民の暮らしや風俗、町の組織が細かく描かれて、幕末と言えば尊皇攘夷の政治思想ばかりが先行し勝ちですが、さすが「ミチクサ先生」は違います。

親42歳で生まれた金之助は「恥かきっ子」、そのうえ庚申(かのえさる)に生まれた子は大出世か大泥棒になるという。
「金之助」の名前は、その大泥棒の筋を断ち切ると言われたために入れた「金」でした。

ほどなく古道具屋ヘ養子に出されますが、夜店の屋台の片隅に籠に入れて置かれていたのを売られていると勘違いした身内が連れ戻したのだとか。
この後、塩原家に養子に出されます。子の居なかった養母やすは金之助を溺愛します。
新政府は「種痘令」を発布し、種痘を受けていた金之助のですが、天然痘にかかってしまいます。大事には至らなかったけど、この時の傷が鼻の頭に残り、この事をずっと気に病んでおり、後の小説にも出てくるそうです。
鼻の頭の傷は頬杖をついたあの写真でも見えるとか。

やすの目から見ても東京の様変わりは凄じく、目と耳で実感したことが書かれていくようです。

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今年は遅く咲き始めた彼岸花。敷地内に植えるのは良くないと聞きますが、裏側の見えないところで残りの球根が強く生き残っています。






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