ほど近いところに学生数2万人の巨大な大学があります。次々に新しいお洒落な建物に建て替わり、常に「増殖」している生き物のようです。
その大学の運営方針として、地域住民とのコミュニケーションをはかるべく有料無料の「市民カレッジ」が企画されています。
今回は、3か月間の「映像にみるヨーロッパ文化」に参加して、10月11月で4本の映画を観ました。レジメが準備されており、教授の解説があってから映画が始まります。
我が家には関係なかった大学ですが、若い人たちであふれるキャンパスを歩くのは実に快適で、この雰囲気が好きで毎回の映画鑑賞会を楽しみにしています。
先ずは開始前に学食で腹ごしらえ。快適な空間で快適な料金で老夫婦は「学生」を追体験しています。400円しなかったカツカレー。
『善き人のためのソナタ』 壁崩壊直前、盗聴と密告により体制を維持していた東ドイツが舞台。
社会主義の敵を暴くことだけに使命を感じているシュタージのヴィースラーの任務は、著名な作家ドライマンを24時間体制で盗聴すること。しかしドライマンの人間的な生活を盗聴するうちに任務への疑いが生じ始めます。・・・・・・・
壁崩壊後に、ドライマンは初めて監視されていたことを聞かされ愕然とします。シュタージ博物館で見つけた自分の監視記録の報告書。しかし途中から内容が事実と異なり始めたことに気づき暗号名「HGW XX7」の存在を知ります。それにより自分が救われたことを知ったドライマンは、HGW XX7(ヴィースラー)を探し出します。しかし背中を丸めカートを引いて配る郵便配達の姿をただ遠くから見つめるだけでしたが、この時ある思いが胸を貫きました。
それから2年後、ヴィースラーは本屋でドライマンの本を見つけます。本の扉には「HGW XX7に感謝をこめて捧げる」と献呈の文字が記されていました。かつて完全に対立する関係だった二人が、本という形を通して融和が完成したのです。ホッと胸を打つ瞬間でした。1冊の本の存在が、直接に対面しなくてもお互いの心と心を繋ぐ・・・、素晴らしいことです。心を打たれるラストシーンでした。
『魔笛』 オペラの舞台を映像化したもの。いくつかのパートに分割して、教授によるモーツァルトの楽譜の分析、見どころの解説、物語の展開の説明があってから映画に移ります。素人には実に丁寧でわかり易く、「オペラってこんなに楽しかったのー?」と思ってしまいました。
馴染のある夜の女王のアリアでは、あのコロラトゥーラの場面で女王がアップされ、その表情が迫ってきて舞台よりも迫力がありました。
『サラの鍵』 フランスのユダヤ人迫害は、ナチにより強制されたものでなく、フランス警察や憲兵の積極的な協力がありました。1995年、シラク大統領はホロコーストにおけるフランス国家の責任を認めました。フランス人には「時効の無い負債」があったのです。胸をつくストーリーでした。
時は1942年、パリで一斉検挙を受けた少女サラはとっさに弟を納戸に隠し鍵をかけてしまいます。両親とは離れ離れ、サラは鍵を持ったまま収容所に送られます。ここから物語が始まるのです。
『ロングエンゲージメント』 第1次大戦中にフランスで、銃で自分の手を打ち抜くなど除隊を狙った行為をした5人の兵が処刑を受け、武器も食料もないままに仏・独の中間地点に放置されます。当然それは死を意味します。その中に生き残った者がある…という噂から物語が展開していきます。
足に障害を持つマチルドは、婚約者マネクを含む5人は処刑されたことを告げられます。しかし処刑の事実に食い違いがあることを見出して、不屈の精神でマネク探しが始まります。消えた婚約者を探しての長い道のり・・・・。
記憶を失い名前も変わっているマネクをやっと見つけ、会いに行く瞬間が実に象徴的でした。石段をゆっくりと一段ずつ上って、逆光の戸口に立ったマチルドの後ろ姿。ワイエスの絵にあったような芸術的な印象的な場面です。その先には緑の庭の真ん中にマネクが座っていました。愛情と信念を持ってついに探しだした婚約者。これがまさにタイトルの『ロング・エンゲイジメント』の「長い婚約」なのでした。
それも月2本の割ではうれしい企画ですね
学生たちに混じってキャンパスを歩いたり学食に通ったりすれば
気持ちも華やぎ若かりし頃を思い出したりなさったことでしょう
それにしても今の学食ってどこも綺麗ですねぇ
オシャレなレストランのよう・・・
私の時代のそれからは夢のような学食です
ヨーロッパの文化というと必ずナチが伴います。
それに教授の解説というプレミアム付きで、ちょっと満足度が
高くなりますo(^-^)o
学食は安いです!定食なんか野菜がたっぷりで、二人で毎日
ここで食べた方が食費が浮きそう…なんて笑っています。
「ご飯を減らしてください。」「こっれくらい?」「いやもっと」という
やり取りの後、「それでは20円引いておきます」ですって。
ちなみに、くちこが毎年会っている友人のご主人も福岡にある大学に教授で、私学と公立に籍があるようですが、ひょっとしてその私学の方?なんて思っていたりします。
今は、友人の娘さんが、そこの学生ですが。
くちこは、アカデミックな場所にとんと縁が無いです。
感動したことが返って上滑りになってしまうような・・・。
12月にあと2回あります。また学食が楽しみo(^-^)o
大学は「F」大学。解説はドイツ語学科とフランス語学科の
教授でしたよ。
神出鬼没のくちこさんは、交友関係が広いですね~。
まだ受けたことがありません。
ちゃぐままさんが受けらたような講座があったら、私も飛びついたかも^^
「善き人のためのソナタ」はTVでタイトルを見て興味を惹かれたのですが、残念ながらわが町での公開はありませんでした。
少し前、BSで「コッホ先生と僕らの革命」(1870年代の帝政ドイツ時代?)を見たばかりなので、シンクロニシティを感じてしまいました(笑)
「魔笛」の映画があるなんて知りませんでした。こちらも見てみたいゎ。
舞台だと夜の女王のアリア、あの超絶技巧のコロラトゥーラが上手くいくかどうかいつもハラハラドキドキします(笑)
次の講座内容も是非ご紹介くださいね。楽しみにしています♪
とても人間業とは思えないので、プロの歌手でも途中で
途切れないかと緊張して聞きます。
映画は2003年にロイヤル・オペラハウスで収録されたもの。
女王は、ディアナ・ダムラウ。世界の超一流。
原発事故でほとんどの外人アーチストが日本行きを拒否した中で、
まだ1歳未満の息子を連れて来日公演をしたとか。
身を持って日本をサポートしてくれた女王なのです。
ちょうどYoutubeでいいのがあったからお借りして載せました。
楽しんで下さいね。
素顔はとても綺麗な方なのに、このギャップ!
素晴らしい演技力です。
来日は震災の後間もなくでしたね。
確かMETの引っ越し公演『ランメルモールのルチア』だったと思います。
夜の女王の迫力から察すると、ルチアの狂乱ぶりもきっと迫力の演技と歌だったのでしょうね~。
『ランメルモール…』の名前は初めて聞きました。そしてMITの引っ越し
公演のことも。
オペラ鑑賞のためによく上京されますが、くまなくチェックされているん
ですね。
楽団を引き連れてだから料金が高くなるのは当然ですが、もっと気楽に
行けるといいのですが。
パパゲーノがパパゲーナを抱きかかえるところがありましたが、パパゲー
ナがとってもふくよかで、大変だったろうと思いましたo(^-^)o
ちゃぐままさんのあらすじ、解説、すごい。
見ていない私も 映画がずいぶん想像できますよ。
最近の大学の食堂はおしゃれですね。私が公開講座でお世話になる
神田外大の食堂もおしゃれで中に入ると若返ります。
メニューはF大の方がよさそうです。