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20年前に国鉄が倒産してJRが発足した。

国鉄は東海道新幹線が開通した1963年から恒常的に赤字を垂れ流しする国営企業に没落し、毎年毎年巨額の税金を投入しなければ経営できない債務超過団体に陥った。
その額、半端ではなかった。

国鉄が事実上の倒産をして、そのままの設備、そのままの人材(実際は組合運動に明け暮れる「活動家職員」は再雇用されず)を動員して誕生したのが民間企業JR。
そのJRは国鉄と異なり、顧客サービス向上に努め、多角的営業にまい進する超優良企業だった。
税金さえ払うようになった。

国鉄からJRになって変わったことは未だある。

なにかの雑誌に記されていたのだが、車両購入費用が激減した。
メンテナンス費も激減した。
建築費も激減し、当然の金額で阪神大震災の復旧工事も完了した(そうだ)。

そのコスト削減の最大の要因は談合が出来なくなったこと。

JRになった途端、車両購入や施設の整備、建設などで参加企業が談合できなくなったのだという。
その結果、談合で生み出されていた不当な利益が削減されたことにより、電車の車両購入費用は1両当たり2/3になった。
1両6000万円で購入していたのであれば、4000万円で済むようになったというわけだ。

国鉄時代の高コストの原因は役人と化した国鉄経営陣と、その組合。
そして談合をおぜん立てする政治家への活動資金。
これら、鉄道の利用者とはまったく関係のない、いわば不当なコストが国鉄の途方もない巨額な赤字を生み出していた。
そんな行為に手を貸していた自民党が21世紀の今日、青息吐息なのも当然だ。

桑原耕司著「談合破り!」は、今日もなお、かつての国鉄よろしく談合を正義として繰り返している建築業界と、それを支える役人組織の現実が描かれている。
驚いたことに、この本に記されている建築業界の談合の仕組みが、他の例えば物品調達の世界でも行われている談合の方法とまったく同じであったことだ。

政治評論家の屋山太郎氏によると会社数における日本の建築土木会社の数は全世界の1/3を占めるのだという。

談合システム。
こんなことは早く止めてしまわないと、国が、社会がおかしくなってしまう、と危機感で憂鬱になってしまう。
そんな迫力のある「談合」ドキュメンタリーであった。

~「談合破り」桑原耕司著 WAVE出版刊~

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