足元の花、陽だまりにて
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soliloquy 花残月―another,side story「陽はまた昇る」
ふと立ち止まる道の片隅、植込の根元に薄紅いろ咲いている。
もう花の季は過ぎ去ってゆく、それでも地と接する境に桜は咲いている。
こんな所からも花開くんだ?そんな発見が嬉しくて周太はしゃがみこんだ。
―きれいだね、もう春も終わりなのに偉いね、
心裡ひとり笑いかけ小さな花を見つめて言祝ぐ。
見あげる梢には緑あわい葉が繁らせて、もう薄紅色は残りも少ない。
それでも根元の花はあざやかな色に咲く、そこに凛々とした実直がまぶしい。
梢の花は見上げられる花、けれど根元に咲く花は仰がれる事など無いだろう。
黒い木肌に抱かれて目立たぬ小さな花、その一輪にこそ心惹かれて一輪の為に立ち止まる。
もし梢に花咲けば仰がれ褒められるだろう、でも豊かな花枝の一輪を一輪の花として見るだろうか?
―きっと足元の花の方が見つめて貰えるね、
きっとそう、足元の目立たぬ花の方が多分、たった一人には見つめて貰えるはず。
きっと梢の花は大勢の人に仰がれ見られるだろう、その人数は多いけれど唯一輪を見つめるのではない。
大勢に仰がれても「唯一輪」では無い花か、誰に気づかれなくても唯ひとりに見つめられる一輪の花なのか?
そんな姿に自分の想う相手と自分自身との生立ちが重ねられて、過ぎ去り戻せない時の記憶から哀切は温かい。
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もう花の季は過ぎ去ってゆく、それでも地と接する境に桜は咲いている。
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それでも根元の花はあざやかな色に咲く、そこに凛々とした実直がまぶしい。
梢の花は見上げられる花、けれど根元に咲く花は仰がれる事など無いだろう。
黒い木肌に抱かれて目立たぬ小さな花、その一輪にこそ心惹かれて一輪の為に立ち止まる。
もし梢に花咲けば仰がれ褒められるだろう、でも豊かな花枝の一輪を一輪の花として見るだろうか?
―きっと足元の花の方が見つめて貰えるね、
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きっと梢の花は大勢の人に仰がれ見られるだろう、その人数は多いけれど唯一輪を見つめるのではない。
大勢に仰がれても「唯一輪」では無い花か、誰に気づかれなくても唯ひとりに見つめられる一輪の花なのか?
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