萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:白妙の刻×谷川岳

2013-11-09 23:35:50 | 写真:山岳点景
白銀、優美と冷厳



山岳点景:白妙の刻×谷川岳

1,977m 谷川岳に登って来ました。

って言ってもね、行ったのは熊穴沢避難小屋まで、笑
写真撮りながらでも標準タイムで着いたんですけど、あえて下山へ引き返しました。
理由はコレ↓にもちょっと映っていますけど、昨日の積雪が凍結していたから&天候変化です。




今日の天神平@谷川岳は午前9時ごろ4℃でした。
昨日は降雪があった為に山頂は白銀の薄化粧が綺麗で、風は冴えていました。
登りだしは晴天、天神峠からの眺望はコンナ感じに↓至仏山@尾瀬ヶ原の方まで見晴かせます。




天神峠@天神山は標高1,502m、山頂付近に天神様の祠があります。




この脇にある小さな岩場を登ると360度パノラミック。
白毛門や朝日岳も見えます。




ここの展望台から谷川岳が綺麗に見えます。
今朝はコンナ↓感じに双耳峰ふたつ稜線から尾根、沢筋まで解かりました。




昨日の降雪で黄葉は散ってしまい椈林は冬景色。
それでも時おりに朱い実が冬枯に鮮やかでした。




天神峠から谷川岳山頂へは最初に下ります。
岩の多い登山道は霜柱が凍っていました、で、予想通りに雪が残ってたんですけど。




朝9時半すぎ、道は雪解けぬかるんだ場所も多くてスパッツ履いて無いことを後悔しました、笑
天神峠からのルートは岩場を下ってゆく箇所が多くて、膝を痛めないように要注意ってカンジです。
ソコが残雪の湿気で滑りやすい&木道は雪が凍結している状態で、とにかく足許に留意しないと危険でした。




短いけど鎖場あり、木道も斜めに傾いて転倒=滑落だろなってトコもあり。
標高2,000mに満たない山ですがルートはバリエーションに富んで油断出来なかったです。
だから平坦なトコに出ないと写真も撮れないんで岩場ショットはありません、笑




天神峠から標準タイムだと50~60分くらいで熊穴沢避難小屋に着きます。
弁柄の赤に塗られた小さな木造小屋は壁際ぐるりのベンチ&会議室っぽい机が置かれていまいた。
ちょっと座ってザックをおろして、行動食を口に入れて水飲んで、ってするには調度いいです。
ただし、避雷するにはちょっと小さめの小屋なので安心は出来ないかなって思います。




熊穴沢避難小屋から折り返す時、空はコンナ↑で晴れていました。
なのでホントは山頂に行きたかったけど、軽アイゼン&時間が無いから今回ここまでって決めていました。
天気も15時から崩れる予報だったので、当初の予定通り下山へ引き返したんですけど。
このとき山頂は↓こんな感じに薄く雲が掛かっても青空が綺麗でした。




来た道を戻りだして右手西方、小出俣山から阿能川岳&万太郎山が霞みだしました。
復路は天神峠へ上らずに分岐を天神平方面へ木道&岩道を下り、西黒沢の五段の滝や黄葉が見おろせて綺麗でした。
距離は短いルートですが段差が大きい箇所も多く、下山特有の膝疲労から来る転倒を気をつけた方が良い感じです。

で、この途中から見た山頂は霞み始めていました。
頬あたる冷感はぴりっと冴えて、ゆるい微かな風からは特有の湿気と雪の匂い。
足許の木道は乾いていましたが山頂から吹きよせる空気は霧か雪の気配でした。




下山ラストは緩斜面を道なりです。
それでも途中、雪解け水の通り道か雪崩の後みたいな所がありました。
けれど狭隘で傾斜のある岩場続きの後なので気分的に楽です、ドコでも油断は怪我の元だからNGですけど、笑

って感じで休憩&撮影時間ふくめて往復2時間ちょっと。
正午前に天神平へ着いて見上げた山頂は、既に雲の中でした。




予報では天候が崩れるのは15時ごろ、けれど実際は正午に山頂は雲霧に覆われました。
晴天から雲中へと変化するまで1時間ほど、こんな短時間で山の天候は刻々と変貌します。
天気の急転は山に共通する事ですが、谷川岳は冬富士と同じくらい特に天候予測が難しいです。




谷川岳は急峻、岩壁と複雑な地形が特徴的です。
また中央分水嶺であり日本海側からの雲をバックネットみたいに受けとめてしまいます。
要するに雲の吹き溜まりになるため雪、雨、雷などが集中発生しやすくて遭難事故の危険が高い。
この急激な天候変化で遭難するケースが谷川岳は多く「魔の山」とも呼ばれ、遭難事故死件数は世界ワースト1位です。

1931年から開始された谷川岳遭難事故の統計記録では2005年まで死者781名。
これに対して八千メートル峰14座での遭難事故死者は合計637名となっています。

この統計は「人数」であってパーセントでは無いから危険度としての単純比較は難しいです。
当然のこと八千峰は登山者数自体が少ないので分母が小さい=危険度%は高くなります。
けれどコレだけ事故件数が多い=技術能力が不適合な登山者が多い、という事です。

天候の急転も、ちゃんと対応できる装備があれば凌げるかもしれません。
けれど低山&首都圏に近い気軽さから軽装備で登った結果、遭難となる方が多いそうです。
今日も確かに軽装すぎるなって方が何人かいたんですよね、無事に途中から引き返していると良いなって思います。




そんなわけで、Aesculapius「Manaslu12」の加筆校正はまだ途中です、笑
これからまた書きます、楽しみにして下さる方少々お待ちくださいね?





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