治療家は、患者様に育てられているのです

2009年05月19日 | Weblog
とよたま手技治療院の前身、

古川治療院時代からずっと往診で治療させていただいていた患者様(以下Aさん)が

先週末お亡くなりになったことを昨日、

ご家族様からご連絡をいただき知りました。



Aさんは小脳をはじめとする脳梗塞のため、歩くことが非常に困難な方でした。

ここのところ血圧も安定し、下肢の筋力も徐々に戻りつつあった矢先の訃報でした。

麻痺の強い側の手足の可動域も広がり、

起立訓練や歩行訓練もだいぶ上手くできるようになってきていた矢先の出来事でした。




先月だったでしょうか

「床から立ち上がる練習って、お願いできる?」

と聞かれて、

「いつでも良いですよ!」

って、応えたのを覚えています。

私には、Aさんの「やる気」がとても嬉しかった。



Aさんはベッドからずり落ちても、一人で床から起きることはとてもできません。

一度床に腰を下ろしてしまうと、元に戻るのを手伝うご家族の方は大変なんです。

周囲を気遣ってか、何とか自分で起き上がれるようになろうと考えたのでしょう。

やさしい人でした。

訓練中も、こちらが気をつけていないとついつい頑張りすぎてしまうこともしばしばでしたが、

新しい取り組みにも積極的に取り組む、頑張り屋さんでした。

Aさんの治療・機能訓練を通じて多くのことを学ばせていただきました。

治療家として、人として、多くの学びと気づきをいただきました。


きょう、

いつもの往診時間に、いつものようにAさんのもとへ伺いました。

静かに眠っていらっしゃいました。

とても安らかな寝顔でした。

ご家族の方から

「年末までには杖着いて歩けるようになるから」と張り切っておられたと

そう聞きました。

私を信頼し、

私が往診に来るのを楽しみにしてくれていたと、聞きました。



「来週からしばらくは、足を鍛えることに専念しましょう!

夏までに20秒間にベッドからの立ち上がりを10回できるように

がんばりましょう!」

って、お別れして

いつものように

「はい、どうもすんませんでした」

と見送られ


今日も変わらない日常が訪れると

そう思っていました。







Aさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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