<ランナーズニー>「走ると痛くなるんです」その仕組み-その1 

2011年12月26日 | 治療の話
師走、

ランナーからの相談が続いています。

その多くのケースで、

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5~6キロ走るとひざが痛みだし、

2~3日で落ち着き、

また走ると5~6キロで痛むことが繰り返され、

病院で検査しても骨も関節も「問題なし」と告げられる。

「使いすぎ:オーバーユース」と言われ

思い切って数か月間、走ることを止めてみたが

やっぱり走り出すと痛み出してしまう。
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といった経過を聞きます。


なぜそんなことが起きるのでしょうか?

回復にはどういった手順が必要なのでしょう?


長くなりそうなので、

何回かに分けて、「ランナーズニー」の成り立ちや

その解決法について、書いてゆきたいと思います。



「ランナーズニー」

これには、関節を支える筋肉の緊張度(トーン)や

長さ(筋長)のアンバランスによる、

関節運動の狂い(モーターコントロールの異常)が

背景として考えられます。

「ランナーズニー」に限ったことではありませんが、

関節が正しく支えられない状況では

運動によって生じる負荷を万遍なく分散することができず、

関節の一部に過剰なストレスが集まってしまいます。

「一定の距離を走った時にだけ痛む」のは

こうしたストレスを局所に与え続けることで

コマかな傷(マイクロトラウマ)が生まれ

次第に明確な炎症に移行していった結果と考えられます。


(子どもの頃、ジャンケンしっぺをしていて

ボッコリ手首が腫れ上がった経験ってないですか?

たとえ一つ一つは小さな衝撃だったとしても、

長時間、頻回に繰り返されると

組織に傷が累積し、

「ガツン!」

と強くぶつけた時のような状態になるんです。

イメージとしてはそんな感じです。)


こういった怪我の生じ方を「反復性緊張損傷:RSI」といいます。

初期には「軽い炎症」ですので数日の安静で落ち着きますし

関節構造が大きく形を変えるのは

こうした状況が長い間続いてからですので

MRIやエコーでなら異常が見つかることもあるかもしれませんが、

レントゲンで異常が見つかることはめったにないでしょう。

ゆえに

「病院に行ったが異常なしといわれた」

ということも珍しいことではないのです。

(こうした場合も丁寧に診ると、腱と骨、筋肉と腱の継ぎ目に

痛みを伴う傷跡(硬結・瘢痕)を見つけることもよくあるものです。)



背景に「関節運動の狂い」がありますから、

ジョギングのように延々と膝関節の曲げ伸ばしを繰り返す種目では

関節のコントロールが正常化しないと

前出の反復性緊張損傷:RSIを繰り返すことになります。

(続く)

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