6月に入ってから、どういうことか新規の患者さんで肩関節周囲炎(〇十肩)の相談が増えています。
「腕を挙げる途中で肩が引っかかって痛い」といったレベルの方もいらっしゃいますが、
多くは拘縮をともなう中等~重症例。
みなさん経過も長く、半年から一年、中には数年肩が動かせない状態が続いているという方もいらっしゃいました。
通常こうした拘縮をともなう肩関節周囲炎は1.5年で緩解するケースが多く、
強い拘縮が数年続くというのは少数派です。
こうした経過の長い方の場合、肩峰下の癒着や肩甲下筋の線維化が回復の足を引っ張っているケースがよく見られます。
今回の方々もご多分に漏れずでした。
治療では癒着を剥がし、肩甲下筋の線維化をほどいてゆきます。
経過は良好。
長期にわたって変性した組織はいっぺんにもと通りになることはありませんが、
正常な回復の道筋に乗せることができれば順当に回復してゆくものです。
ちなみに、夜間痛があるケースは功を焦ると痛い目を見ますので要注意です。
患部の炎症が強い、もしくは刺激に対して炎症を起こしやすい時期ですので、
こうした時期にアグレッシブな手を打つと後々の拘縮が強くなる傾向があるので
治療する側も気を付けなくてはなりません。
夜間痛が出ているときは消炎鎮痛剤を服用し、安静を心がけましょう。
順当に行けば6日ほどで内部の腫れが引くはずです。
それでも夜間痛が落ち着かないようであれば、日中の活動時に三角巾で腕を吊っておきましょう。
そんな大げさな!
と思われるかもしれませんが、しつこい夜間痛には大いに役立つ一手です。
騙されたと思ってお試しあれ。
さて、
夜間痛が落ち着いていれば今度はセルフケアの出番です。
治療の勘所も「肩峰下の癒着や肩甲下筋の線維化」の解除。
セルフケアも同様です。
※この二点だけで済むものではないのですが、回復を阻む大きな要素としてこの二点があるということです。
「肩峰下の癒着」は「腱板(棘上筋の腱)」や関節包上面の靭帯(上関節靭帯・烏口上腕靭帯)あたりの傷跡が原因しています。
これに対しては棘上筋の働きにフォーカスしたケアエクササイズがおススメです。
「肩甲下筋の線維化」は文字通り肩甲下筋の働きにフォーカスしたケアエクササイズがおススメです。
どちらも収縮より伸長時(引き伸ばされるとき)のコントロールとその運動方向への組織の長さを作ることが重要です。
それを作るのに、最近はチューブトレーニングを見直しています。
家でもできる方法としては500mmlのペットボトルを使ったダンベルエクササイズがおススメ。
それらを今度、動画で紹介してみますね。
こうご期待!