親指側の手首の付け根がいたい! ドケルバン病とCM関節症<前編>~痛みとその治療~

2011年09月25日 | 治療の話
Aさんは、左の親指の付け根が痛むとご来院されました。

Aさんの左手の親指は、痛みと強張りのために

曲げることができない状態です。

さて、どうしたものでしょう!?


詳しく見てみると、痛む場所と痛む動作は2種類あるようです。

そこから、Aさんが2つの故障を抱えていることが分かりました。

その2つとは「ドケルバン病」と「CM関節症」です。

この二つ、併発しているケースをまま見ます。

さて、私はAさんの手の痛みのご相談を、

どう捉えて何をしたのでしょうか?


その辺を2~3回に分けてご説明してゆこうと思います。


ちなみにAさんの場合、

初回の治療で多少痛みながらも親指を曲げ、握りこめるようになり、

3回目の治療では若干の違和感を残すのみとなりました。



先ず、以下にそれぞれの故障をご説明します。

はじめに「CM関節症」の説明です。


【母指CM関節症】

この障害の症状は

物をつまんだり、ビンのふたを開ける時に、親指の手首に近い側の付け根に痛みが出ます。


図版引用:WEB上のフリー素材より

図示されている骨のうち、右側の短い側を「大菱形骨」といいます。
 
長い側は「第一中手骨」といいます。
 
それらが構成する関節をCM関節といいます。

CM関節症は、

親指を内に曲げたり、つまむ動作の際に使われる筋肉が縮みこんでしまい

図の○に囲まれた骨のうち、

親指の土台となる大菱形骨という骨(右側)から中手骨(左側)が外へ押し出されることで

親指を充分に開くことができなくなります。

しっかりと噛み合うことのできなくなったCM関節では

関節に小さなキズが積み重なり、徐々に変形してゆきます。

その過程で痛みが生じるのです。


 
この障害の見極めは、

一般的には、CM関節の腫れや、圧痛、

つまみ動作や親指をひねる動作での痛みなどが決め手とされています。

 
徒手医学的には、CM関節の可動性や変位を見ることで判断します。





この故障、杖を使っている方にも多く見られます。

杖を付く生活を長く続ける中で、

母指球に埋まっている中手骨(指の延長上の、手のひらにある骨です)が

杖を強く握り締め続ける中で内側に引き込まれ、CM関節の動きが失われます。


動きのないCM関節の代わりに、

母指の付け根(第2関節)が過度に反り返る方向へ緩んでしまったり(これもこれで痛いです)

CM関節が変形をきたしてしまう方もいらっしゃいます。


治療としては、

CM関節の動きを妨げ関節の位置をずらしている犯人の

固く縮みこんだ母指球筋を引き伸ばし、

大菱形骨と第一中手骨の位置を正しい位置に置きながら行う運動療法で

正常な動きを回復させる処置を施します。




(つづく~後編~)

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