東京難民
2018年1月24日(水)
知人に映画のチケットをもらいました。「東京難民」。
父親からの仕送りが途絶えた大学生の「転落」のストーリーです。一応社会的テーマを扱っていますが、それがなければ、「エログロナンセンス」映画と思われても仕方のない描写でした。暴行シーンにはいささか辟易いたしましたし、ベッドシーンもやり過ぎでしょう。
現在社会の問題点を散りばめるように様々な事が次から次へと紹介されてきます。ゼロゼロ物件による追い出し、ネットカフェ難民、裏社会に通じたぼったくりのホストバー、土木現場でピンハネする会社、借金によりソープランドに売り飛ばされる女性等々。ただ、それらの問題に通底する本質を明らかにしたとは思われません。土木現場で「社会的」労働者が登場しますが、会社がピンハネすることを主人公に教えるといった程度です。この格差社会の本質に迫って欲しかったですね。最後は、ホームレスの人との交流で、恨んでいた父親を許す気持ちになり、父親探しの旅に出ますが、チト安直な感じがしました。爆弾を作っているというアナキー的フリーターを登場させますが、その意図が、この不条理な格差社会がこれからも続くと、テロが起こるようになるという作者の洞察であれば、それは大いに共感するところでした。
70歳代の女性の感想が漏れ聞こえました。「東京ではあんなことがあるんだね。」と。他人事のように思われることは、作者の本意ではないと思います。ストーリがチト不自然なことが原因ではないかと思いました。例えば、ぼったくりのホストバーで、ぼったくられて痛い目に遭っているのに、そこで働きだすというのは有り得ないでしょう。
若い人こそ観る映画と思いますが、年寄りだらけです。