〈 受身 〉
1 助動詞「見・被」を用いたもの
S 見レV 。 … SはVされた。【 S・助・V 】
王 見レ殺。 王殺さる(王は殺された)。
有レ功、被レ誅。 功有れども、誅せらる(功績があったのに、罰せられた。)
2 前置詞「於」によるもの
S V(二)於A(一)。 … SはAにVされた。【 S・V・M 】
窮 者 常 制(二)於 人(一)。 窮する者は常に人に制せらる(追い込まれた人は常に人に制せられる)。
3 代名詞「所」を用いたもの【 S・V・C 】
S 為(二)A 所(一レ)V 。 … SはAにVされた。
我 為(二)先 生 所(一レ)叱。 我先生の叱る所と為る(私は先生に叱られた)。
4 Vの意味上、受身に読むもの
S V(二)[地名・官職](一)。 … Sは[地名・官職]にVされた。
☆ V … 封 禄 叙 任 用 遷 謫 etc
我 兄 任(二)一 年 生 担 任(一)。
我が兄一年生担任を任ぜらる(私の兄は一年生の担任を任命された)。
「受身」は、基本的に「不幸」または「予期しない」内容を表現する。
自分の意に反して起こった出来事、自分の意志ではどうすることもできない内容だ。
「弑される(殺される)」「逐はる(地位を奪われる)」「遷せらる(左遷される)」のように。
ある地位を「任ぜられる」のは不幸ではないかもしれないが、自分の意志ではなく、あくまでも「恩寵」である。