学年だより「時間感覚」
大谷翔平選手が、類い希な身体能力を有していることは、誰が見てもわかる。
同じだけの体格、足の速さや筋力、運動神経を持ち合わせた人は、必ず同じように成功できるかといえば、おそらく不可能だろう。
立派なフィジカルを持てばなおさら、それを律する精神が必要になる。
日本ハムファイターズ時代の5年間、投手コーチとしてともに過ごした黒木知宏氏はこう語る。
~ 「翔平のプライベートな時間は、二刀流を続けるためにある」
「自由時間はすべて、自らを高めるために使っている」 ~
24時間365日という時間は、すべての野球選手に平等に与えられている。
この「時間」と向き合い、「投手だけに時間を使う」「打者だけに時間を使う」のではなく「両方に時間を費やす」という不可能を可能にしたのが大谷選手だ。
大谷選手の時間感覚は、こんなエピソードからもうかがい知ることができる。
~ この年の2015年、オールスターの初戦に先発登板したその日の夜、番組に生出演してくれました。番組終了後、出演してくれた御礼に軽く食事に行きましょうと、番組スタッフがお店を予約しようとしたところ、彼はこう答えました。
「お店は予約していただかなくて大丈夫ですよ。僕はフジテレビの社食に行きたいです。社食に行きましょう!」
その10分後、大谷選手は夜深い時間のお台場フジテレビの社食で、社員に混じりながら美味しそうに牛丼を頬張っていました。
食事が終わり、社屋を出る時に「大谷君、社食で大丈夫でしたか?」と聞くと、彼は、「田中さん、大丈夫ですよ。会社の社食に興味がありましたし、お店へ向かう移動時間のことを考えると社食で十分ですよ。時間がもったいないので」と笑顔で答えました。 (田中大貴「NUMBER WEB」11月26日) ~
このオフに肘の手術をした大谷選手だが、投手復帰までのタイムスケジュールは完全にできあがっていることは想像できる。
~ 大学受験や高校受験で合格するのは、スマホを捨てた子です。
「雑誌を捨てます」「TVを見ないようにします」「ゲームは1時間以内にします」と言っている子は合格しません。
高校生でスマホを捨てるのは根性が要ります。
スマホをボンと捨てられる子は、志望校に通ります。
それは、覚悟があるからです。 (中谷彰宏『しがみつかない大人になる63の方法』きずな出版) ~