水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

具体化(2)

2019年11月11日 | 学年だよりなど
2学年だより「具体化(2)」


 大学に受かること自体が目標では、なぜいけないのか。
 一般に言われる「目標」が示すものは、一時的な幸福を表す言葉にすぎない。
 大学に合格することも同じだ。
 第一志望の大学に合格した――自分もうれしいし、家族も、仲間も喜んでくれるだろう。
 それは、合格したという事実を褒め称えたいからではない。
 そこにいたるまでに頑張ってきた過去への賞賛だ。
 そしてこれから過ごすことができるであろう未来へ希望だ。
 積み上げてきた努力を知っているからこそ、心からねぎらい、同様にこれからもいい時間を過ごしていくであろうとことが予測できるから、期待する。
 明らかに何の努力もしないで受かった人を見て、どう感じるかを想像してみれば、それはわかる。
 過去と未来の間にある象徴的な一瞬を「目標」という言葉は表している。
 そう考えると「目標」自体は、「そのこと」でなくてもいい。
 大事なのは、その目標に向かってどんな時間を過ごすか、どんな自分になれるかだ。


 ~ 自分の部屋が散らかっているので、きれいにするという目標を立てたとしよう。もし片づける気力を奮い起こせたら、ひとまず部屋をきれいにできるだろう。ところが、もともと部屋が散らかった原因である、だらしなく溜めこむ癖を続ければ、ほどなく新しいガラクタの山を目にして、また片づける気力が湧くまで待つことになる。同じ結果に追われ続けるのは、その裏にある仕組みを変えないからだ。原因に対処せず、症状を抑えただけである。
 目標達成は生活を一時的に変えるにすぎない。これは改善について考えるとき、直観に反する考え方だろう。わたしたちは結果を変えなければと思いがちだ。しかし結果は問題ではない。本当に変えなければならないのは、結果をもたらす仕組みである。結果レベルで問題を解決すると、一時的に解決するだけだ。永久に改善するためには、仕組みレベルで問題を解決する必要がある。入力するものを直せば、出力結果は自ずと直るだろう。 (ジェームズ・クリア『複利で伸びる1つの習慣』PanRolling) ~


 ベスト8入りを果たした日本ラグビーチームへの賞賛を私たちが惜しまないのは、選手みんながどれほどの過去を積み上げてきたかに、思いをはせることができるからだろう。
 仮にベスト8入りできなかったからといって、その価値は失われるものではない。
 達成した「目標」そのものが、人間の価値を決めるということではないのだ。
 十分な努力を積んでいても 結果が出なかったときに、距離のある人たちからは賞賛されないだろう。しかしその過程で、自分は大きく変わる。それをわかってもらえる人も周りにいる。
 目標達成の瞬間にいたるまでに、どんな時間を過ごしたいのか。
 つまり、具体的に、どんな「仕組み」を、自分の生活の中につくっていくのか。 
 「目標」自体より大切のは、「仕組み」のだんどりだ。
コメント
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