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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

オンリーワン(3)

2021年11月14日 | 学年だよりなど
1学年だより「オンリーワン(3)」


 自分の将来に漠然とした不安を抱える人、自分の現状に満足していない人達にとって、「オンリーワン」という言葉は、麻薬のようにしみわたった。
 「今でこそ、こうしてくすぶってるけど、自分は価値ある人間だ、いつかそれが立証される日もくる、自分はオンリーワンの人間だ!」と。
 それを証明しようと「自分探し」をしてみるものの、なかなかこれというものが見つからない。 自分は何ものでもないのかな……と、気づけた人は幸せだったのかもしれない。
 そして、何ものにもなれないのは、まさに自分の責任だと思い知らされる。
 「自分の夢を叶えよう」という言葉は、自分の幸せは自分でつかむしかない、社会はそれを用意できないという意味だった。
 そのような本質に気づかない大人が、もしくは気づいていながら目をつぶっている大人が、家で学校で「自分の好きなことを見つけよう」と言う。
 そう語っている自分自身はどうなんだろう? と疑問を抱きながらも、子どもたちは、若者たちは自分探しを強いられる。
 将来の目標を書かされる、キャリアプランなるものを提出させられる。
 「夢」というほどのものは見つからない、特にやりたい仕事とか思いつかないと感じながら、むりやり書いて提出すると、「もっと自分に本気で向き合ったらどうだ」とお説教される。
 お互いに、そろそろ「オンリーワン幻想」から脱した方がいいのではないか。
 将来やりたいことが早々と見つかる人は幸せかも知れないが、あまりにも純粋にそれを追い求めすぎて、思うようにならなくて(多くは叶わないから)傷つくことになる。
 人生どうなるかわからない、極端なことを言えば明日命を失うことだってあるくらいなのだから、将来のことについては、そんなに「しっかり」イメージしようとしなくていい。
 たまたま明日も元気でいられたらラッキーではないか。
 がちがちの夢を設定しなくてもいい。
 みんながみんな「自分をいかせる仕事」を目指さなくてもいい。
 みんながみんな「たくさんの人を笑顔にできる仕事」に携わらなくていい。
 みんながみんなキラキラする必要はないし、できない。
 ふつうに働いて、自分でごはんが食べれるようになれば、何も恥じることもない。
 地味に、地道に、地に足をつけて毎日を過ごすなかに、かけがえのない人生はある。
 目先の勉強をしっかりし、その時々に求められることに逃げることなく取り組んでいけば、やることは向こうからやってくる。それが全く予想もしなかったことであっても、やってみると、やりたいことになったりする。
 文系・理系を決める、ざっくり行きたい学部を決める、行きたい大学を思い切り高望みしておく、今はこれくらいで十分だ。何学部にいくと就職がいいのだろうなどという発想は、全く不要だ。
 まずは、地に足のついた勉強をしよう。覚えることをじっくりしみこませていこう。
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