水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

正解

2022年02月02日 | 学年だよりなど
1学年だより「正解」


 映画「コーダあいのうた」で、主人公ルビーが家族のもとを離れて音大に進学したことは「正解」だったのだろうか?
 家族はその後、ほんとうに幸せだったのか……、と考えることはできる。
 確約のない未来のために、あえて困難な道を選ぶ必要はないのではないかと。
 唯一の健聴者を失った家族の生活が、大変になることは言うまでもない。
 しかし両親も兄も、そんなことはわかった上でルビーを送り出した。
 もしそうしなかったら、おそらくみんなが後悔する日が来ただろう。
 ルビーを送り出したことで、かりにそれが期待から大きくはずれた結果になったとしても、「やらなかった後悔」は抱かずにすむ。
 やって後悔するか、やらずに後悔するか。
 どちらを選ぶのも自由であり、どちらを選ぶかに正解はない。
 理系か文系か、どの大学を受験するか、国立か私立か、通えるところか家を出るか……。
 いろんな考え方があり、みなさんのおかれた環境もそれぞれだが、正解はない。
 どこに就職しようか、自分で会社を立ち上げてみようか、この人にコクってつきあおうか、結婚しようか、転職しようか、どこに住もうか……。


~ 学校教育は、問題にはひとつの正しい答え=正解があると教えます。2+2は4だし、日本最初の総理大臣は伊藤博文。He am Taro. は不正解で、He is Taro. が正解!
 こうした教育に慣れすぎてしまうと、人生で遭遇するさまざまな問題にも、正解があるかのように錯覚してしまいます。でも生きていくうえで私たちが直面する問題のうち、「重要な問題」にはほぼ正解がありません。正解があるのは、たいして重要でない問題ばかりです。いったいなぜ、人生の重要な問題には正解がないのでしょう?
 それは「どんな人生がもっともよい人生なのか?」という問いに正解がないからです。
 もし「誰にとっても最高の人生とはこういう人生である」という正解があるなら、あらゆる意思決定は、その「正解の人生」に少しでも近づけるように行なうべき、となります。
 そうなれば、その方法が学校で教えられ、すべての人が同じ判断をするようになるでしょう。そして、すべての人がまったく同じような人生を送る、極めて画一的な社会ができあがります。
 でも、もしそんなコトが行なわれていたら、人類はここまで豊かな社会を作り上げることはできなかったでしょう。というか、もっとずっと前に、滅びてしまっていたかもしれません。
 社会にはさまざまな人がいるから(もしくは、さまざまな人がいたから)私たちはここまで豊かになれているのです。
           (ちきりん『自分の意見で生きていこう』ダイヤモンド社)~


 正解のない問題の「答え」は、ネットを調べても、誰かに尋ねても、見つからない。

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