水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

運動脳

2022年09月05日 | 学年だよりなど
2学年だより「運動脳」




 みなさんの知り合いにいたかもしれないが、たとえば都内に住んでて本気で中学受験をする子は、小4で既に塾中心の生活みたいになる(もっと早い子もいるくらいだ)。
 中3で高校入試の勉強を始めた人より、6年も前から塾通いを続けているのだ。
 そうして名門の中高一貫校に入ったからといって、全員が東大や医学部に受かるわけではない。
 統計によると、小4からSAPIXで学んだ生徒さんの、大学入試結果の平均値はMARCHレベルになるという。
 そんなに早くから塾漬けになってMARCHなら、高校2年まで部活漬けになってて、その後で普通にMARCHに入っていったみなさんの先輩達の方が、人生の選択的に悪くないような気がする。
 もちろんいろんな価値観があるだろうが。
 もしかしたら、小さい頃から勉強している子は勉強し過ぎなのではないかとも思える。
 むしろ適度に体を動かした方が、結果も違ったかもしれない。
 勉強以外のこと、とくに運動が脳を活性化させることについては、前々から指摘があった。
 近年の研究では、それはもう科学的に証明されているようだ。




~ 脳の可塑性の研究においては、身体を活発に動かすことほどに脳を変えられる、つまり神経回路に変化を与えられるものはないことがわかっている。しかも、その活動を特別に長く続ける必要はないという。じつをいえば、20分から30分ほどで充分に効果がある。
 ランニングによって脳を変えるメカニズムには、GABA(ギャバ、ガンマアミノ酪酸)と呼ばれるアミノ酸が関係している。
 GABAは脳内の活動を抑制して変化が起こらないようにする、いわば「ブレーキ」の役目を担っている。しかし身体を活発に動かすと、そのブレーキが弱まる。運動によって、GABAの脳を変えまいとする作用が取り除かれるのだ。そうなると脳は柔軟になり、再編成しやすくなる。
 脳を「固まらない粘土」と考えるなら、GABAのブレーキ作用が抑えられることで、粘土がより軟らかく、成形しやすくなるということだ。運動を習慣にしていれば、あなたの脳は「子どもの脳」に近くなっていくのである。  (アンデシュ・ハンセン『運動脳』サンマーク出版) ~




 脳は全体の10%しか使われていない、脳神経は20歳ころまでに完成し後は衰えるだけ、脳神経細胞の多い人が頭のいい人……、などと昔から言われていたが、近年の研究に基づくと、それらはほぼほぼ間違いであるようだ。
 形を変えられることを可塑性という。80歳の人でも脳の可塑性は失われない。
 ただし変わり方の度合いは、人それぞれの生活習慣にによって大きな差が生まれる。
 脳はコンピューターにたとえられるが、スペックが常時一定のPCとは異なり、たえず変化し続ける脳内は、むしろ複雑な生態系だ。 今日の脳と昨日の脳は同じではない。

コメント
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