水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「勉強本」(2)

2022年09月24日 | 学年だよりなど
2学年だより「勉強本」(2)




 「勉強は自由になるためにするものだ」――。
 逆にいうと、自由になるためには勉強しないといけない。
 大谷選手は、あんなにすごいのに、なぜ毎日練習するのか。
 もっと自由に投げ、自由に打ちたいからではないか。
 大谷選手に思いを寄せずとも、部活での自分をふりかえってみれば、容易に想像できるだろう。
 いいパスを通したい、飛距離を伸ばしたい、記録を向上させたい、上手に演奏したい、いい作品をつくりたい……。
 もっと自分を表現したい、力を発揮したいと思ったとき、自分のもっている「手段」に磨きをかけようとする。それが練習だ。
 自由に「何か」をするためには、練習しないといけない。
 自由になるためには努力をしなければならない。
 自由になるためには不自由な時間を過ごさねばならない。
 目先の自由、てっとばやく手に入りやすい「自由もどき」に目がくらみ、不自由の努力を怠ると、結果的には不自由のまま終わると言える。
 もちろん、どのレベルのものを自由とするのかは、人それぞれだ。
 現実的な話にしてみよう。
 大学はそんなに選り好みしない、来年の冬、その時点の自分の力で入れるところでいい、だから今は目の前の「自由」を選ぶ――という考え方はありうる。
 将来像を思い描いたとき、これこれの大学に行きたい、だから今はけっこう不自由だけどストイックに勉強する――という考え方もある。
 これは生き方の問題だから、どっちかが正解で、どっちかが不正解ということはない。
 そして、この現実問題を考えるうえで、大きな要素が一つある。
 勉強という努力、つまり今する「不自由」は、やった分と得られる分の差がかなり小さいということだ。いわゆる「努力のコスパ」がいい。
 やった、やらないの結果が、きわめて平等に、正当に評価される。
 他の分野に比べると、飛び抜けていい(大人になると、心から実感できる)。
 やれたという経験自体も、後の人生に役立つ。




~ 一見小さなことのように見える、テストの点数を5点、10点と上げることが「頑張れば努力が報われる」という経験の積み重ねになります。
 その経験によって「努力すればできる自分」を信じられるようになり、勉強という分野を超えて、自分のこれからの人生を支えてくれるようになると私は思っています。 (鈴木光『夢を叶えるための勉強法』KADOKAWA)~




 どんな人生を選ぶかを強制はできないが、勉強という努力を奨めたい気持ちは抑えられない。

コメント
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