水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

運動脳(2)

2022年09月09日 | 学年だよりなど
2学年だより「運動脳(2)」




 たとえば来年の6月、こんなシーンを迎える人がいるかもしれない。
 最後のインターハイ予選。二年半の鍛錬のかいあって、見事決勝まで勝ち上がることができた。
 あと一勝で、インターハイ出場が決まる。
 過去に一度も勝ったことがない強敵が、待ち迎える。
 さあ、まもなく試合開始だ。やってやるぞ! 気持ちをこめてコートに足を踏み入れる。
 先に整列していた相手チームの、屈強な姿が目に入る。
 胸が高まる、心臓がバクバクいいはじめる、顔があつい、呼吸もはやくなってきた……。
 この時、脳内ではアドレナリンが分泌される。心臓の動きをはやめ、血流を上げる。
 同時にコルチゾールが分泌され、血液中のコルチゾール濃度が一気にあがる。
 このシステムは、何百万年も受け継がれてきた、生物としての脳の反応だ。
 その昔、わたしたち人類は(話が大きくなったけど)、日常的に生命の危機に瀕していた。
 突如おそってくる自然災害はもとより、振り返ると猛獣がそこにいたかもしれない。
 危険を感じた瞬間に、戦うか逃げるかを判断しなければならない。
 恐怖を感じた瞬間に起きる、脳内のこのシステムを「闘争or逃走」反応とよぶのはそのためだ。
 しかし、強そうな敵のチームに対峙したとき、やるべきことは相手に襲いかかることではない。
 私たちは、毎日いろんなストレスを感じている。
 アドレナリンを分泌し、コルチゾール濃度をあげる。でも、それは、過剰なのだ。
 そんなに毎日、闘争or逃走の準備をする必要はない。
 だから、ストレスホルモンを過剰にではなく、ほどよく分泌するような身体であればいい。




~ ここで、いよいよ運動の出番だ。あなたがランニング、あるいはサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。なぜなら肉体に負荷がかかる活動は一種のストレスだからだ。
 しかし運動が終われば、身体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニングを始める前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。
 定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。運動によるものでも仕事に関わるものでも、ストレスに対する反応は、身体が運動によって鍛えられるにしたがって徐々に抑えられていくのだ。 (A.ハンセン『運動脳』サンマーク出版)~




 運動することで、ストレスに対して過剰反応しない身体ができるということだ。
 もちろん、強度の高い運動は必要ない。回数も週2回レベルでいいという。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする