水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

筋肉と脂肪

2023年02月27日 | 学年だよりなど
2学年だより「筋肉と脂肪」




 2023年2月21日、東京ドーム。デビュー以来「天才プロレスラー」の名をほしいままにしてきた武藤敬司選手が、長きレスラー人生に終止符を打った。
 たぐいまれな身体能力、プロレスセンス、自己プロデュース能力を武器にして、日米のありとあらゆる団体でトップの地位に上りつめた武藤選手は、ファンだけでなく、多くのレスラーたちからもリスペクトを集めている。武藤選手のトレーニングのブレーンを長年務めているのが、江崎グリコ社でサプリの開発に携わり、スポーツアドバイザーとして活躍する桑原弘樹氏だ。




~「今日のテーマの『減量』、これは人生に通じる課題でもある。なぜなら、メンタルトレーニングにも繋がっているからです。だれもが嫌なこと、しんどいことに引きずられがちですが、自分のなかにはかならずポジティブ・マインドがある。それを見つけてほしい。」


「言霊は、とても大切なんです。筋トレをしているとき、『もうきつい、これ以上できない』という瞬間がきたら、そこで終わるのではなく『待ってました!』。なぜなら、オールァウト寸前から、筋肉への働きかけがはじまるのですから。だからこそ、『待ってました、じゃあもう一回!』。どんな言葉を自分に投げ掛けるのか、それによってもトレーニングの質は大きく左右されます」


「個人差はありますが、筋肉は簡単にはつかないものです。一年単位で薄皮を一枚ずつ重ねるようにしてついてゆくのが筋肉ですから、早く結果を求めず、がんばり過ぎないことが大切です。がんばれば脳はリターンを求め、ストレスを生むことがある。ですから、ごく当たり前のことを継続するのが、着実に結果を出すためには意外に有効です。高度な鍛えかたに走らず、簡単なことを軽んじない。」


「筋肉の維持とは、一個人の身体の成熟期をできるだけ長く、衰退期を遅くすることだと考えています。だからベンチプレスを何キロ多く上げられたという成果はもちろんうれしいのですが、数字の右肩上がりだけが重要なわけではないと思うんです。」
                (平松洋子『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』新潮社)~




 トレーニングの理論は、あらゆる分野の成長論として通用する。というか、人生そのものの教えのように感じられる。もちろん、学ぶことの意味や学び方にも。
 学力は一朝一夕には身に付かない。筋肉が、「薄皮を一枚ずつ」重ねるようについていくのと似ている。だからこそ、奇を衒うことなく、焦らず地道に基本に忠実に、積み重ねていくことが大事だ。
 みなさんが今している勉強は、一年後に合格を勝ち取るためにあることは間違いないが、決してそこがゴールではない。むしろスタート地点に立つための勉強と言えるだろう。
 知的活動の「成熟期をできるだけ長く、衰退期を遅く」するための勉強とも言える。
 そのためには、ごくあたりまえのことを継続する。疲れたときは、「待ってました!」と自分に声かけし、「もう一回」だけ、がんばってみよう。

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