3学年だより「カイロス時間」
~ 世の中、時間がすべてなんですね。一日二十四時間、世界中、どこのどんな人間にも平等に与えられているものは時間しかない。この時間をどう使うかによって、その人の人生が決まってくる……」by本田宗一郎 ~
どんなお金持ちも、地位の高い人も、有名人も、アイドルも、一日は24時間、1440分、86,400秒だ。すべての人に、時間は平等に与えられている……と、よく言われる。
人の寿命は平等だろうか。
生まれ持った病や、不慮の事故のために、若くして命を絶たれる人がいる。
大切な人を守るため、譲れない何かのために、命を捧げる人もいる。
広義には、非業の死でさえ寿命と言えるのかもしれないが、不条理としか言いようのない現実を目にすることは決してめずらしくない。
寿命という形で各人に与えられた時間の総量は、人によって相当異なる。
とはいっても、50歳で亡くなった人は、80歳まで生きた人に比べて不幸かというと、必ずしもそうとは言えない感じもする。
時間の捉え方は、何を観点にするかによって、様々な姿を見せるものだ。
ギリシャ語は、客観的な時間と主観的な時間とを分けて表現する。客観的な時間を「クロノス」、主観の時間を「カイロス」とよぶ。ともにギリシャ神話に登場する神の名前だ。
~ 一方向に流れ行くクロノスという時間、取り返しのつかない時間、直線運動をする時間、再体験することのできない時間、記憶の中にしかない時間、哲学的にはその意味と目的が分からないままもともかく進んでゆく時間、無機物的に機械的にじわじわと進んでくる時間、これらがクロノスのもつ著しい特徴である。 (岩村太郎「二つの時間意識」)~
時間の神カイロスは美少年だ。長い前髪をたたえ、しかし後頭部には髪がない。
~ その彫刻が指し示しているようにカイロスには前髪しかない、であるからもし前髪をつかみ損ねたからその直後に後ろ髪をつかみ直そうと思っても手遅れである。カイロスをつかむ一瞬のタイミングを外すと、二度とその機会は訪れない。前髪と後ろ髪の比喩、カイロスのイメージの彫刻とはカイロスのもつ一回限りの瞬間性を表し、両足についている翼とはカイロスのもつ浮気性、空中浮遊性を暗示していると考えられる。ここからカイロスとは予想不可能なものであり、神出鬼没な性質をもったものであることが容易に理解できよう。~
つまりカイロスが「チャンス」の語源だ。
いま私たちはクロノス時間を生きているだろうか、それともカイロス時間を生きているだろうか。
~ 世の中、時間がすべてなんですね。一日二十四時間、世界中、どこのどんな人間にも平等に与えられているものは時間しかない。この時間をどう使うかによって、その人の人生が決まってくる……」by本田宗一郎 ~
どんなお金持ちも、地位の高い人も、有名人も、アイドルも、一日は24時間、1440分、86,400秒だ。すべての人に、時間は平等に与えられている……と、よく言われる。
人の寿命は平等だろうか。
生まれ持った病や、不慮の事故のために、若くして命を絶たれる人がいる。
大切な人を守るため、譲れない何かのために、命を捧げる人もいる。
広義には、非業の死でさえ寿命と言えるのかもしれないが、不条理としか言いようのない現実を目にすることは決してめずらしくない。
寿命という形で各人に与えられた時間の総量は、人によって相当異なる。
とはいっても、50歳で亡くなった人は、80歳まで生きた人に比べて不幸かというと、必ずしもそうとは言えない感じもする。
時間の捉え方は、何を観点にするかによって、様々な姿を見せるものだ。
ギリシャ語は、客観的な時間と主観的な時間とを分けて表現する。客観的な時間を「クロノス」、主観の時間を「カイロス」とよぶ。ともにギリシャ神話に登場する神の名前だ。
~ 一方向に流れ行くクロノスという時間、取り返しのつかない時間、直線運動をする時間、再体験することのできない時間、記憶の中にしかない時間、哲学的にはその意味と目的が分からないままもともかく進んでゆく時間、無機物的に機械的にじわじわと進んでくる時間、これらがクロノスのもつ著しい特徴である。 (岩村太郎「二つの時間意識」)~
時間の神カイロスは美少年だ。長い前髪をたたえ、しかし後頭部には髪がない。
~ その彫刻が指し示しているようにカイロスには前髪しかない、であるからもし前髪をつかみ損ねたからその直後に後ろ髪をつかみ直そうと思っても手遅れである。カイロスをつかむ一瞬のタイミングを外すと、二度とその機会は訪れない。前髪と後ろ髪の比喩、カイロスのイメージの彫刻とはカイロスのもつ一回限りの瞬間性を表し、両足についている翼とはカイロスのもつ浮気性、空中浮遊性を暗示していると考えられる。ここからカイロスとは予想不可能なものであり、神出鬼没な性質をもったものであることが容易に理解できよう。~
つまりカイロスが「チャンス」の語源だ。
いま私たちはクロノス時間を生きているだろうか、それともカイロス時間を生きているだろうか。