水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

階段の法則

2023年07月16日 | 学年だよりなど
3学年だより「階段の法則」



 夏まゆみ氏は、アイドルやミュージカルのコレオグラファー(ダンスの振り付け、指導を行う人)として活動し、長年にわたりダンスの普及活動や、振付師自身の地位向上にも携わってきた。
 先日61年の生涯に幕を下ろされたが、モーニング娘やAKB48をはじめ、300組以上のアーティストを育ててこられた。まったく素人の女の子を、厳しいレッスンでエンタメ界のエースに育てていく手腕は、それ自体が番組にも取り上げられたりもした。
 夏先生は、エースには誰でもなれると言う。
 ただし、そのためには正しい努力をしなければならず、その方法は、けっしてアイドルや芸能人だけの話ではなく、すべての人の成長に共通するという。
 まず「自己を確立すること」。
 自分が何を目指し、そのために何をやらないといけないかをはっきりさせること。
 「いつかセンターに立ちたい」と漠然と考えている生徒さんに「階段」を書かせること。




~ おそらく多くの人は、漠然とした夢や理想はあるけれど、そこへの道筋が見えなかったり、夢に近づいている実感が持てないから悩むのではないでしょうか。
 アイドルの卵たちも同じで、歌手になりたいとかセンターに立ちたいとか、漠然とした目標は持っていて、自分なりに努力もしているのだけれど、それが少しも実になっていないような気がして落ち込んでしまう子がたくさんいます。
 そんなときに教えるのが「階段の法則」です。
 やり方は、まず紙に階段の絵を描いて、最上段にその子の夢、たとえば歌手になりたいなら「歌手になる」と書きます。次に「歌手になるには何をしたらいいと思う?」と聞いて、本人が「ボイトレ(ボイストレーニング)かな」と答えたら、夢の下の段に「ボイトレ」と書き加えます。
 続けて「じゃあなんでボイトレやらないの?」とたずね、「レッスン料が足りない」という返事だったら、ボイトレの下の段に「お金」と記入。「ならお金を貯めるにはどうすればいい?」という質問に「アルバイトを頑張る」と返ってきたら、お金の下段に「アルバイト」と書きます。
 そんなふうに最上段の夢から一段ずつ地面まで降りてくれば、いまの自分にできることが見つかります。アルバイトと歌手はまったく関係がないようでいて、ちゃんと同じ階段でつながっていることがわかれば、アルバイトへのモチベーションも上がります。
  (夏まゆみ『エースと呼ばれる人は何を育ててきたのか』サンマーク出版)~




 自分がどんな存在であるのかは、他者との関係性で決まるという話を、現代文の授業でさんざんやってきた。
 未来の自分という他者と、今の自分との距離を認識してはじめて、「自己」は生まれるのだ。
 自分がどんな階段を昇ろうとしているのか、いま現在何段目に達しているのか、つまり自己が確立してくれば、やるべきことは自然に決まる。

コメント (4)
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