2学年だより 「仕組み」化
生活パターンをどう作るかも、仕組み作りの重要な要素だ。
一日のうちには、勉強に適した時間、運動に適した時間、創造力にあふれる時間、単純作業に適した時間、身体の成長に必要な時間など、さまざまな時間帯がある。
それらの性質は、睡眠との関係で決定する。
基本的に、十分な睡眠をとったあとの数時間が、脳が最も知的に活動できる時間だ。
目覚めてから数時間のうちは、新しいことをいくらでも学べる。
基本的に、目覚めてから十数時間経過すると、脳の中身は酩酊状態とほぼ変わらなくなる。
学校で授業を受け部活をし、その後に塾に通う場合、よほどうまく体調を整えないと結果がでにくいのは、脳の働きとの関係に原因が求められるのではないだろうか。
一日を有効に使うためには、まず睡眠の質を高めることが大切だ。
~ 睡眠の最大の役割は脳のリフレッシュだ。起きている間、脳は外界から入ってくる膨大な情報を神経細胞のつなぎ目であるシナプスを通して処理している。シナプスは情報を処理すると強度が高まるが、この強度には上限があるという。
「上限に達すると脳全体が過活動の状態になり、学習も情報の重みづけもできなくなりますが、眠ることでこの強度が元に戻り機能も正常化するのです。」
乱暴に言うと、一日使っていっぱいになったゴミ箱が、眠ることで空に戻るイメージだろうか。この、元に戻るためにかかる時間が、必要な睡眠時間だと推測されるという。個人差はあるが、8割くらいの人にとって必要な睡眠時間は7~8時間といわれる。若いほど睡眠時間が必要で、中学生なら9~10時間寝てもおかしくない。反対に60歳以上になると7時間以上眠れる人は少なくなる。 (熊谷わこ「脳科学的時間術 最前線」週刊AERA) ~
十分な睡眠がとれると、脳内のゴミがすっきり処理された状態になる。
人間の意志決定を行う前頭前野はすっきりしていて、何かを決定するのは朝が一番だ。
意志決定だけでなく、さまざまな判断、感情のコントロールなど高度な精神活動を行うのが前頭前野だが、使えば使うほど疲労していく。
ベッドから出ようか5分寝ようか、今日は何を着ていこうか、何を食べようか……。こういうちょっとした意志決定も前頭前野を少しずつ疲労させていく。
スティーブ・ジョブズがそんなことに脳を使いたくないと毎日黒のタートルネックとジーンズで過ごしていたのは有名な話だが、他にもたくさんの人の例はあげられる。
なぜ毎日同じシャツを着るのかと問われたマーク・ザッカーバーグはこう述べる。
「何を食べるか、何を着るかなどのたとえ小さな決断でも、繰り返し行っているとエネルギーを消費してしまうんだ。日々の生活の小さな物事にエネルギーを注いでしまうと、僕は自分の仕事をしていないように感じてしまう。最高のサービスを提供して、10億人以上もの人々を繋げることこそ、僕のすべきことなんだ。」
脳という資源をムダにしない毎日を過ごすために、ルーティンを決めておくことは有効なのだ。