今話題となっているアニメ映画「この世界の片隅に」を観にいった。
平日の昼をねらって予約したら、客席はガラガラだった。
客層は、年配者が多い(働き盛り世代は来れない時間帯)。
アニメながら当時の考証が評判だというだけあって、実写やCGでなくてもリアリティにあふれ、自分の幼少期(昭和30年代)にあった生活用品の記憶も呼び覚まされた。
主人公よりいくぶん年少にあたる母から、戦争当時の生き様を聞いてきただけに、母の少女時代と重ね合わせて観た。
しかし、この作品は1回見ただけでは、 受けとめきれていないものが多く、したり顔で論じることはできない。
素朴な感想だけにしておくと、主人公は絵を描くのが好きということもあり、絵のような風景画面がよかった。
ほんとに昔の日本は、素朴ながらも美しかったと思う。
その主役の声を担当しているのは”のん”こと能年玲奈。
彼女を応援したい気持ちはもとからあった。
声だけとはいえ、まっとうな主役に巡りあえてうれしい。
感情表現の抑揚がよかった。
一番印象に残ったのは、砲撃の爆音。
これが場内に響いた瞬間、戦争というもののリアリティが全身を走った。
実際、主人公たちも今までのささやかな幸福を維持できなくなる。
そして戦争の悲劇・苦難を乗り越えて、人は生きていく。
私の親の世代は、そうやって生き(サバイブし)てきたのだ。
なるほど、人生がドラマなんだな。