店で靴を選ぶ時、ぴったりのサイズより、いくぶん余裕のあるサイズを勧められる。
自分自身、元から外反母趾であるため、靴が拇指の付け根に当たらないよう、幅広の靴を選んできた。
幅がワイドでない靴の場合は、サイズを大きめにする(もちろんインソールを付ける)。
足のどこにも靴が当たらないのが快適だと思っていた。
その結果、私の足は横アーチがなくなって開張が進み、本来足の中心側に位置する第二・第三指の中足骨頭部分が下がりきって床に当たる
(靴底のその部分が一番すり減る)。
同じ基準で選んだ山靴で山に行くと、日帰り登山でも指の爪が内出血して黒変し、爪が死んでぺろりと向けてしまう。
足の第四指は内側に湾曲している。
私のこの足は間違った靴選びの結果であることを最近知った。
一番参考になったのは、西村泰記著『その靴、痛くないですか?』(飛鳥新社)という本で、ぴったりした靴ではなく、
ゆったりした靴を履くと、開張足になって、足の指が圧迫されて曲がってしまうという。
私がその通りになった。
実際、靴を履いて痛むのは、拇指の付け根ではなく、爪先なのだ。
そこで、お気に入りの靴※のあえて1サイズ小さいものを新たに買いに行った。
今までとは異なった基準で初めて購入するには勇気がいる(値段もそれなりだし)。
試し履きすると、圧迫感すら感じるから自信がなくなる。
店員は、あいかわらず1サイズ大きめのを勧めるので(そのサイズは前回購入済みなんだよ)、
決断が鈍ってしまい、日と店を変えて、思いきって買った。
そして、今日、履きおろして繁華街に買い物に行った。
今までは靴の中で足が動いていた。
今回は、足にぴったり靴が密着しているので(それを圧迫感だと感じていたわけだ)、歩くと、靴と足が同じ運動をしている。
だから、足のどこにも靴がぶつかることがない。
爪先が痛くなる1サイズ大きい靴と違って、どこも痛くない。
恥ずかしながら、この歳になって目からウロコが落ちた。
※お気に入りの靴とは、メレルのカメレオン5ストームモックゴアテックスの黒。
幅は2E(自分は3E以上でないとダメだと思い込んでいた)。
底がビブラム、アッパーがゴアテックスという理想的なアウトドア仕様ながら、
紐なしのスリップオンなので、通年・全天候・アウトドア〜タウンのどこにでも履いていける優れもの(スーツには合わない)。
スーツ無用の私ならこれ一足で季節・天気・場所に関係なくすべてすごせる。
特に観光地では、靴を脱いて入る所があるので紐付きは面倒。
かといって山道も歩くので底はビブラムでないと。
ゴアテックスだから雨も平気で、真夏も蒸れない。