お気に入りの東濃には頻繁に通っている私だが、西濃にはとんと足が向かない(といっても関ヶ原、養老の滝・天命反転地、伊吹山、夜叉が池、御池山、根尾谷などは日帰りで行った)。
ズバリ、温泉に乏しいからだ。
そんな中、養老の滝(居酒屋じゃなく、本物の滝)の近くに”養老温泉”を擁する「ゆせんの里・ホテルなでしこ」という温泉ホテルがある。
以前(2009年)利用した時は一人一泊17500円もしたので、毎月の温泉旅のリスト(1万円台前半)には入らなかったが、いつのまにか5000円ほど下がっていたので、堂々とリスト入りできる。
ここは、名神高速大垣インターを降りてほど近いので、東名名古屋インター近くのわが名古屋宅からだと、1時間以内で着いてしまう。
といってもここは濃尾平野の西の端、養老山地の麓で西側一帯に山が迫っており、転地効果はある。
ホテルは、宿泊棟とスパ温泉施設棟、それに日帰り用施設棟が別れており、宿泊棟はイタリアのアパート風で、ここだけは外国の雰囲気。
ただ部屋から出ると冬は伊吹おろしにさらされる。
なので作務衣の他に綿入りの半天と厚めのソックスも用意してある(替靴下がいらない)。
シングルルームのベッドはセミダブルで広く、部屋自体もビジホのような狭さがない。
部屋の作りはいいのだが、100%外国風なので、日本基準では室内の照明が暗く、読書は不可。椅子も簡素なので長いパソコン作業には不向きで、原稿執筆の”お籠り”には使えない(温泉施設館内にはゆったりしたソファがある)。
食事は健康食的で野菜類が多く、量的には小振りだが、満腹を求めない私には丁度いい。
鶏肉が苦手な私にとって、茶わん蒸しに鶏肉の代わりにエビが入っていたのも加点になる。
以前利用した時は、まだ私は”計測マン”でなかったので、今回は温泉の計測が第一目的。
泉質はナトリウム・カルシウム・塩化物泉で、褐色になっている(鉄分は微量なので、カルシウムに次いで多いマグネシウムのせいだろう)。
湧出量が多いので、湯は源泉掛け流し(加温のみ)。
浸透圧は珍しく”等張性”で(たいていの温泉は低張性)、実際、全溶存物質(TDS)を測ると、8620ppmもあった。
電気電導率で表現すると 12960μSで、すこぶる濃い(五桁に達するのは私の過去の計測では他に2ヶ所だけ)。
酸化還元電位も-170mVを下回り、湯が新鮮だとわかる。
すなわち、ここは温泉の濃さ・新鮮さが卓越しており、温泉好きにとって実に入り甲斐がある。
温泉ソムリエとして、一挙にこの宿の評価が高まった。
温泉の評価として、濃さと鮮度が一番重要だと思う(いくら泉質が善くても、薄かったり・老化していたら温泉としての効果なし)。
値段も手ごろになったし、 行き来もしやすい。
惜しむらくは、周囲に見所がなく(養老公園だけ※)、また室内もお籠り向きではないが(つまり連泊には向かない)、「一泊でも温泉に入りたい」時用の候補にしたい。
日帰り施設の食堂を使えば、更に宿泊費を下げられるし。
※養老町のサイトを見たら、小さな名所旧跡はいろいろあるようだ。実際、私も小笠原氏関係でも訪れたことがある。