ノーベル物理学賞というと、最先端の量子力学(素粒子論)か、世の中を変える工学分野の研究者が受賞するものだと思っていたが、なんと地球物理学、すなわち気象学の基礎となる分野から受賞者が出たこと自体に驚いた。
真鍋氏の研究成果は、気象学の教科書に当たり前のように紹介されている。
私自身は気象学者ではないが(気象学会員ではある)、身近な分野が注目されることはうれしい限り。
氏がなんで早々にアメリカに渡ったかというと、精密な数値シミュレーションを実施するには、当時の日本では不可能な世界最高速のコンピュータが必要だったため(2位じゃダメなんですよ)。
ただ氏は御年90。
はっきり言って過去の業績の評価。
昔の日本人は凄かった、で終るのか。
今の現役の日本の研究者から、将来ノーベル賞受賞者が出るだろうか。
岸田首相が就任早々日本を「科学立国」にすると明言したタイミングでこの慶事だ。
裾野の広い基礎研究に、人材と予算が集まることを期待してやまない。
ところで心理学関連でのノーベル賞受賞者はというと、学習の基礎となる「条件づけ」(条件反射)の発見者イワン・パブロフはノーベル医学・生理学賞を受賞したが、彼自身は心理学者ではなく生理学者。
あとノーベル経済学賞(正式なノーベル賞ではない)だが、行動経済学で受賞したダニエル・カーネマンはれっきとした心理学者。
フロイトは医者だったけど無冠。