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9月が永遠に続けば 沼田まほかる

新潮社主催の「サスペンスホラー大賞」という賞の第5回受賞作とのことで、文庫化された際に書かれた書評でも高い評価だった野で読んでみたが、明らかにホラー小説ではないし、サスペンス小説として傑出している訳でもないように思える。失踪した息子を探す母親である主人公の行動も何か不自然な気がする。ただ文章のスタイルと人物の造形は新人離れしている。内容的には、息子が急に失踪し同じ日に愛人が電車に轢かれて死亡するという謎から始まるのだが、中盤に主人公の元配偶者の後妻が登場するとどうも異様な話になっていく。通俗小説一歩手前の内容だが、後妻や主人公を助ける近所のおじさんなどの人物の造形が面白い。(「9月が永遠に続けば」沼田まほかる、新潮文庫)
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