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お坊さんが隠す仏教の話 村井幸三

前に読んだ「葬式は、要らない」という本が、現在の仏教界をかなり厳しく糾弾していたので、そのバランスを取るために、中立的な本を読もうと思って本書を選んだ。非常に中立的で判りやすい内容なので、その目的は十分に達成できたように思う。本書では、「葬式仏教」というお寺のあり方にはその歴史的な経緯を踏まえた上で理解を示しつつも、法外で根拠のない戒名料に全てを依存する現在の仏教界には非常に辛辣だ。本書を読んでいると、例えば、お寺の数がコンビニの店舗数よりも倍近く多いとか、2万弱のお寺に住職がいないとか、お坊さんの半数近くが女性であるとか、いろいろ面白い話が載っていて興味が尽きない。また、団塊世代の住職への登用、女性僧侶の活用、檀家制度の会員制への移行など、斬新で面白い提言も満載で、85歳という著者の思考の柔軟さには驚かされる。(「お坊さんが困る仏教の話」村井幸三、新潮社)
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