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世界の宗教がざっくりわかる 島田裕己
世界の様々な宗教の基本知識の入門書のような題名で、その通りの内容なのだが、それだけではない新しい発見もいくつかあった。離散によって宗教活動の場が失われたことがユダヤ人迫害の要因の1つになっているという話、キリスト教の歴史で「異端」問題が多いのは一神教と矛盾する「二元論」への誘惑というものがあるという話、東西が交流するイランで勃興したゾロアスター教やマニ教の話、イスラム教の中心「カーバ神殿」の中には何があるかという話などは、いずれも知らなかったので、大変興味深かった。本書は、エリアーデというルーマニアの宗教学者が著した大著「世界宗教史(全8巻)」を訳した著者がそのエッセンスを紹介するという要素もあり、本書を読むとその大著を読んだような気分になれるのでお得感がある。また、一連の繋がった文章なのだが、いつの間にか別の宗教の話になっていて、しかも世界の主要な宗教が網羅されているということで、全体の構成も読み手のための工夫がちゃんと施されている。著者の名前をどこかで見たことがあるなと思って著者の略歴をみたら、「葬式は、要らない」の著者だった。(「世界の宗教がざっくりわかる」 島田裕己、新潮新書)
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