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PK 伊坂幸太郎

最近の著者の作品としては、軽い感じのする作品だが、現代社会の不気味な圧迫感を題材にしたストーリー展開と、3つの短編が微妙に絡み合った世界は、著者独特の重いテーマを投げかけており、充実した読書感をもたらす。そのあたりが流石という感じだ。人生のいろいろな岐路で、世の中の流れや空気を読んで小さな妥協をしてしまうのか、それともあくまで自分の考えを貫くのか、それがどのような結果をもたらすのか、どちらが正解なのか判らないまま、物語は不気味な様相で進んでいく。ときおり出現する顔のない群集が不気味さを助長し、微かな希望を見せて終わる。絶妙な雰囲気を漂わせた作品だ。(「PK」、伊坂幸太郎、講談社)

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